定年後に愕然…3500万の住宅ローンで「老後破産」した夫婦の地獄

「オーバーローン」に要注意
高橋 愛子 プロフィール

ところが、頭金を入れずにフルローンで住宅ローンを組むと、返済は進むが、物件の下落に住宅ローン残高が追い付かない事態が起こる。なぜなら、新築物件などは、建築業者や販売業者の利益が乗っているため、2割程度は買ってから中古物件化すると下がると思っていい。そのため、必然的に【図1】の(3)ようなオーバーローン状態に陥りやすい。

【図1】前ページの図と同じものです

 

もちろん、低金利だからフルローンで組むというのも選択肢の一つであるが、その場合は、想定外のことが起こった場合にリカバリーできる貯えがあることが必要だ。

さらに高齢者の相談の多くは、「物件の下落」に頭を悩ませている。購入した時がバブル後でまだ物件価格が高かった、金利が高かった、という人はフルローンで買っているとほぼオーバーローンである。金利が高いので、払っていてもほぼ元金が減っていない。そして物件の下落である。早期に借り換えをするか、繰り上げ返済をするなどしないと厳しくなる。

最も悲惨なのは、頭金を入れていても、物件の大幅な下落でオーバーローン状態に陥ってしまうケースだ。バランスシートで示せば【図1】の(4)のような状況。先述したSさんのような苦境である。時代背景の被害者とも言っていいだろう。