定年後に愕然…3500万の住宅ローンで「老後破産」した夫婦の地獄

「オーバーローン」に要注意
高橋 愛子 プロフィール

ところが、不動産業者に物件査定を依頼してみると驚きの結果が明らかとなる。査定額は、1200万~1300万円だというのだ。購入価格が6000万円だったから、ほとんど1/5の金額。住宅ローン残高はその時点で、約2000万円も残っている。2500万円もの頭金を入れたにもかかわらず、700万~800万円の「オーバーローン」状態であるという現実に愕然とした。

〔PHOTO〕iStock
 

「オーバーローン」の怖さ

「オーバーローン」とは、住宅ローンの残高が、物件の現在価格よりも多くなってしまう状況のこと。

オーバーローン状態の物件は、住宅ローン残高(Sさんの場合は2000万円)を一括で返済できないと売却することはできない。なぜなら、住宅ローンを借りるとき、金融機関は不動産を担保にお金を貸すため、その物件に対して「抵当権」を設定している。その抵当権を抹消してもらうためには、その時点での住宅ローン残高を一括で返済しなくてはならないからだ。

Sさん夫婦には、2000万円のローンを一括返済することは不可能だ。また毎月の14万5000円の住宅ローンを支払い続けることもできそうにない。そうなると、住宅ローンを滞納せざるを得なくなり、最悪の場合、家が競売にかけられてしまう。

どうしようもなくなり、私のところに相談に来たSさんに、私は「任意売却」を提案した。

任意売却とは、オーバーローン状態の物件でも、住宅ローンを借りている金融機関と相談の上、ローンの残債がある状態でも抵当権を外してもらうことができ、物件を時価で売却できるようになる方法だ。