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北海道の固有動物が壊滅の危機!? 動物写真家が憂うアライグマ問題

フクロウやモモンガも被害に
佐藤 圭 プロフィール

収穫前のスイカ全部に穴が!

僕がいちばん懸念しているのは、北海道固有の生態系が破壊されてしまうことです。北海道の野生動物たちは、これまでアライグマほどの強力な天敵を知りませんでした。だから、対抗する術がないんです。

 

鳥が高い木の上に巣を作っていても、アライグマは平気で上り、怪力の前肢を使って巣を荒らし、卵やヒナをむさぼります。木のウロに棲むエゾフクロウやエゾモモンガなども被害にあっています。

相当高い木でも楽々登れるので、樹上に巣を作る鳥たちもひとたまりもない

陸上では、手当たり次第に穴を掘り食べ物を探すので、器用さで劣るキツネやタヌキはエサを奪われてしまいます。水辺で暮らす北海道固有のカエルやサンショウウオ、魚たちの今後もとても心配です。

水辺で狩りをするアライグマ

農作物の被害も深刻です。知り合いの農家さんが、朝、畑に出てみると、収穫間近のスイカのほとんどに穴が開き、一口づつ食べられていたそうです。酪農家さんの牛舎でも牛のエサや出荷前の牛乳が荒らされています。被害は甚大です。

それに怒った農家さんは、罠を仕掛けます。ところが、アライグマより先に、警戒心の薄いキツネやタヌキがかかってしまうんです。肝心のアライグマは減らず、キツネやタヌキが減ることになります。

生態系の破壊、農作物や人家への被害は、北海道以外でも大きな問題になっていて、アライグマは特定外来生物に指定されています。日本の貴重な在来種を守るためには、駆除を含め数を増やさない努力が必要だと思います。

でも、アライグマに罪はありません。元々日本にいなかったアライグマを持ち込んだ人間の責任です。

遥か太平洋を越えて連れてこられたアライグマにはなんの罪もないのですが…

山で出会ったとき、「おまえたちはここにはいちゃいけないんだよ」と思う反面、純粋な眼差しを向けられると、人間の身勝手さを責められているようで悲しい気持ちになってしまいます。

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