その「痩せた方がいい」はメロスの心なのか

人体はストレスを感じると、ストレスホルモン・コレチゾールが過剰分泌され、結果的に脂肪を蓄えやすい体になるらしい。体型指摘がストレスを与えて余計に太りやすい体を作っていた、という研究データもある。「痩せた方がいい」なんていう言葉は、誰にでも言えるが、そういった軽々しい一言や意識から、摂食障害や身体醜形障害に繋がる可能性はかなり大きい

かの有名ドラマ『家なき子』の名台詞「同情するなら金をくれ」が大ヒットしたように、「本当に相手の人生のためを思っている』なら、ただ相手のストレスになる厳しい言葉をかけるより、見知らぬ人であっても何も言わずに100万円をポーンとあげるべきだ。何なら2000万円でもいい。風邪をひいたら看病しに行き、交通事故に合わないよう毎日祈祷して欲しい。「運動しろ」ではなく、一緒に楽しめる運動を探すとか、『走れメロス』のような志があるなら、一昼夜走り続けて親友の命を救ってほしい。それができないのであれば、今日から他人の体型に対して何も言わない方が相手のためだ。

ダイエットを求める人に適切なダイエット方法をシェアするのは良いと思う。でも求めていない人に問答無用でダイエットを押付けることは、相手の自尊心に対する配慮を無視している。それはアポなしの訪問販売で高額な布団を売りつけるのとさして変わらないのではないか。

「人生の3分の1を占める眠りは重要です」分かる。分かるけど、布団の品質を重要視する余裕のない人や、訪問販売で布団を買わない人も世の中にはいるのだ。そして眠りよりも起きている時間が大事な人もいる。人生でそのとき大事にしているものは、人それぞれ違うのだ。

良い育毛剤を知っていても、薄毛の人にいきなりお勧めしたり、育毛の素晴らしさを説くのはおかしいだろう。冒頭にも書いたが、体はその人の存在・命の一部である。だからこそ医師でもない他の誰かがご指導ご鞭撻しようなんて、おこがましいことだ。誰かに痩せろと言っている人がいたら、それは『走れメロス』のメロスなのか、よく見てみて欲しい。大概は言いたいだけの偽メロスである

ネットにも太っている人のアドバイス的コメントをよく見かける。なぜ人の体のことにそこまで意見するのだろう。photo/iStock