離婚の話がでるとき、大きな問題となるのが「経済力」だ。専業主婦として暮らしていても、離婚を願って自分の足で歩けるよう、子どもを養えるように準備をする人もいる。ただし、自営の場合、自分自身が動かなければ収入はゼロだ。ライター・上條まゆみさんの連載「子どものいる離婚」、今回は夫婦でラーメン店を開店したが、3年後に離婚、娘を育てながらラーメン店を経営している伊藤綾さんのお話を伺った。

上條まゆみさん「子どものいる離婚」今までの記事はこちら

ラーメン店開店3年後に離婚

伊藤綾さん(41歳)は、中学3年生の娘を育てるシングルマザー。練馬区の住宅街にある「鶏と牡蠣の白湯しおらーめん はないち(1号店)」と「家族のらーめん食堂 はないち(2号店)」を経営している。13年前に元夫と2人で1号店を出したが、10年前に離婚。以来、女手ひとつで切り盛りしてきた。

「いやー、これまで大変でしたよ。借金だらけで、何度も自己破産を考えました。でも、店は私たち母娘が食べていくための大切な手段。いったん店をつぶしてしまえば、もう2度とお店はもてない。これまでお世話になった人たちにも、多大な迷惑をかけることになる。なんとか踏ん張って、ここまでやってきたんです」

2009年にオープンした「はないち」のしおらーめん。潰れるのでは…という危機をどのように乗り越えたのか 

窮状を救ってくれたのが、意外にもコロナだ。当然、売り上げは激減したが、コロナ対応の緊急融資制度を利用することで、まとまった額をほとんど無利子で借りることができた。持続化給付金そのほかの給付金も支給された。それで、ようやくひと息つけたのだ。

都の休業要請を受けてしばらく店を閉めなければならなかったが、それも次のステップに向けての経営戦略をじっくりと練る時間に当て、前向きに乗り越えた。

「まさに、ピンチはチャンスですよね!」
 
深刻な話もカラカラッと笑顔で話す。綾さんには、ひまわりのような明るいたくましさがある。

「私これまで、じっくり計画を立てたり人に相談したりせず、まずは『やっちゃえ!』ってぶっつけ本番で始めて、失敗ばかりしてきたんです。それですごく苦しい思いをするんだけど、どん底まで落ちているときにしか思いつかないことがフッと浮かんできたり、助けてくれる人が現れて、なんとかなる、みたいな。人生、その繰り返しでした」

綾さんの離婚、その後の人生を聞いた。