ソーシャル・コミュニケーションを考える(2)
スターバックスの「ベータカップ・チャレンジ」に見るミンナを動かす"小さな参加"。

カルマカッププラン(HPより)

使い捨て紙コップを減らすシンプルなアイデア

 具体的な事例を引きながら、ソーシャル・コミュニケーションの構造を整理してみようということで、今回はその第2回目です。前回は、「ポリオの生ワクチン問題」を検証しながら、パブリック・アフェアーズのお話をしました。今回は、環境問題をテーマにしたソーシャル・キャンペーンのお話です。

 昨年スターバックスが、米国でスポンサーしたアイデア・コンペ「ベータカップ・チャレンジ」をご存じでしょうか。

 日本のネット上でも話題になったので記事やブログなどで読んだ記憶のある方もいるかもしれません。

 簡単に紹介すると、毎日、相当量の紙コップを使い捨てているスターバックスは、2015年までに使い捨て紙コップを撤廃し、カップの完全リサイクル化を目指しています。そこで、世の中の使い捨て紙コップを減らすためにこのアイデア・コンペが開催されたのです。そして、このコンテストには430のアイデアが寄せられました。

 その中で、見事に優勝したのが、「カルマカップ」というプランです。

 「カルマカップ」の仕組みは、いたって簡単です。絵にある通り、店頭に黒板が置かれて、リサイクルのマグカップのお客さんが来る度にチェックが入ります。一人来ると、一つチェックが入り、人数を数えていくわけです。そして、きり番である「10番目」の人は飲み物が無料になります。次に「20番目」さらに、「30番目」と、10人毎に「無料」が当たる――。参加人数が増えるほど、無料でもらえるチャンスが増えていくわけです。このアイデアにはこんな説明がついています。

〈 皆で使うポイントカードだと思えばいい。小さな投資で大きなインパクト。
世の中には、それぞれのニーズにあわせた素晴らしいリサイクル・マグカップがあふれています。
しかし、本当に必要なのは態度を変えるためのインセンティブです。無料のコーヒーと周囲からのプレッシャー。リサイクルマグを使おうという気持ちを起こさせるのに、大がかりな仕掛けも、多額の資金も必要ありません。 〉

 タイトルにある「カルマ」とは、Karma(カーマ、日本語ではカルマと発音)のことでしょう。因果関係を意味します。

 最優秀賞を獲得した「カルマカップ」は、スターバックスの普段のサービス内容を大きく変えることもなく、カップを開発する必要もない、ただ人の心の動きだけに注目した簡単で際立ったアイデアだったと言えるでしょう。この作品のほかに、優秀賞が5作品選ばれていますが、いずれも、大がかりな仕掛けだったり、カップの素材やデザインを変えるものでした。

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