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文科省元幹部「裏口入学事件」裁判で見えてきた意外な真相

これは本当に「事件」だったのか

珍しい事件

新型コロナウイルス禍の影響で、予定から2カ月半遅れで始まった文部科学省汚職事件の公判(西野吾一裁判長)。

同省科学技術・学術政策局長(肩書は立件当時、以下同)の佐野太被告が受託収賄、コンサルティング会社「東京医療コンサルティング」(TMC)元取締役の谷口浩司被告が同幇助、東京医科大学理事長の臼井正彦被告と同大学長の鈴木衛被告が贈賄の罪にそれぞれ問われている。

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事件は2017年5月、同省大臣官房長の佐野被告が、臼井被告から同省の「私立大学研究ブランディング事業」対象校に選ばれたいと要望され、その提出書類の作成に協力した見返りとして18年2月、1浪中の次男が東京医大入試で点数を加算されて正規合格する形で賄賂を受け取ったというもの。東京地検特捜部(廣田能英主任検事)の取り調べに対し、逮捕された佐野、谷口両被告は一貫して容疑(起訴)事実を否認、臼井、鈴木両被告も在宅起訴後に否認に転じた。

 

東京医大の女子受験生差別ばかりが騒がれたこの贈収賄事件も、カルロス・ゴーン事件などの牽強付会なシナリオ捜査で知られる同部前部長、森本宏検事(現・津地検検事正)が指揮したものだ。

だが佐野被告にブランディング事業に関する職務権限はなく、臼井被告に請け負った案件も翌日に自ら断った。また、18年2月の東京医大入試の際に不正加点を受けて合格したとされた佐野被告の次男は、実は補欠合格に十分な点数を自力で得ていた。これほど突っ込みどころ満載の特捜事件も珍しい。

森本特捜部はいったいどんなシナリオで、佐野被告を有罪にできると判断しているのか。双方の冒頭陳述から見えて来た事件の真相を検証してみよう。