8月30日 オランダの化学者ファント・ホッフ誕生(1852年)

科学 今日はこんな日

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"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

1852年のこの日、第1回ノーベル化学賞を受賞したオランダ人化学者のヤコブス・ファント・ホッフ(Jacobus Henricus van 't Hoff、1852-1911)が誕生しました。

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オランダのロッテルダムで7人兄弟の3人目として生まれたファント・ホッフは、デルフト工科大学(Delft University of Technology)に進学します。そこで学ぶ合間の長期休暇において、彼は砂糖工場で働いてお金を得ていました。

ヤコブス・ファント・ホッフ Photo by Getty Images

しかし、そこでの作業は彼にとって退屈でした。彼は、この経験を機に卒業後は技術者より科学を研究する道を進む決断をします。そして2年ほどドイツやフランスに留学しました。ドイツのボン大学では、ベンゼンの環状構造を発見したアウグスト・ケクレ(Friedrich August Kekulé von Stradonitz、1829-1896)に学んでいます。

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オランダに戻った彼は、1877年にアムステルダム大学で職を得て化学熱力学の研究に従事します。同年には、早くも冊子『空間における原子の配置(Die Lagerung der Atome im Raume)』を出版し、物質の構造式を立体に応用した考えを示しました。この功績からファント・ホッフは「立体化学の父」と呼ばれることもあります。

 

そして、1886年に彼はノーベル賞受賞の理由ともなった重要な法則を提唱しました。それは、充分に濃度が薄い溶液(希薄溶液)においては、その浸透圧は溶液の濃度に比例し、溶質の分子量に反比例するというものです。

つまり、溶質が同じでで濃度の違う2つの溶液を半透膜の両側においたとき、濃度差が大きいほど溶媒による濃度の均一化が進みやすいというわけです。一見当たり前に思われる法則ですが、これの定式化はファント・ホッフが初めて成し遂げた偉業でした。

また、この式はアボガドロの法則や理想気体の状態方程式が溶液にも応用されることを示した点でも名高いものになっています。こうした業績から、彼は栄誉あるノーベル化学賞の最初の受賞者になったのです。