三井住友は三菱UFJを抜いて、純利益でメガバンク首位の座を奪い取った photo/gettyimages
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三井住友銀行が「りそな」に急接近…? メガバンク「下剋上バトル」の全舞台裏

現役バンカーたちが明かした

2020年3月期決算で、現在の3メガ体制となって初めて三井住友フィナンシャルグループが三菱UFJフィナンシャルグループを破って、純利益で首位の座を奪い取った。圧倒的な規模を誇るエリート集団である三菱UFJを攻撃的な社風で知られる三井住友が打ち破った構図は、今後の日本の金融の先行きを占う意味でも重要な転換点だといえる。メガバンクが熾烈な下剋上バトルを繰り広げるウラで、いまいったい何が起きているのか――。

今回、新作小説『よこどり 小説メガバンク人事抗争』で銀行の在り方について独自の切り口で迫った作家の小野一起氏が、メガバンクの現役幹部、元日銀幹部など最前線を知る行員たちと緊急対談。いま銀行業界に起きている「大異変」の全舞台裏を赤裸々に語りつくした。

メガバンクでいまいったい何が起きているのか photo/gettyimages
 

三菱UFJが「敗北」したワケ

小野 直近で出そろった2020年4~6月期決算の純利益を前年同期と比べると三菱UFJが半分以上減って1834億円、三井住友も6割以上減少して860億円でした。不良債権の拡大に備えた与信費用が膨らんだことが両グループの利益を圧迫しているかたちですが、政府系金融機関の資金繰り支援などで企業倒産は想定ほど増えていません。コロナショックで製造業を含めて経営不振企業が出てくるのはこれからで、今後は銀行決算にどのようなダメージが出てくるのか見極める必要があります。コロナショックという圧力を経て、三菱UFJと三井住友の力比べにどう優劣が付くのか、本当の実力が試されます。

日本の金融史を振り返ると、1990年代まで日本の銀行は「大手20行」と称されていました。それが、バブル崩壊にともなう不良債権処理で体力が低下。公的資金による資本増強もあって、現在の3メガバンクを中心とした体制に再編されました。

大手銀行の再編という意味では、三菱UFJは三菱、東京、三和、東海、三菱信託、東洋信託、日本信託という実に7行が参画している。一方の三井住友は住友、三井、太陽神戸の3行のみです。金融は規模の利益が出るビジネスですから、三菱UFJは圧倒的に有利な体制を構築していたといえるだけに、そこを三井住友が抜いた意味は金融史的にも大きいですね。

もともと三菱UFJは中心となっている「三菱銀行」の伝統が色濃く、三井住友は「住友銀行」のDNAが、しっかりと生きていると思いますが、そうしたカルチャーの違いが経営に与える影響をどう分析するのか。みなさんは、それぞれ所属しているメガバンクがありますが、匿名性を保つために、自分の組織のことでも他のメガのように話して下さい。

メガバンク部長A(50代) まず、三菱銀行が、なぜ次々と再編を成功させたのか、という点をよく分析しておく必要があると思います。

三菱銀行は伝統的に経営企画部が強い。経営企画部はいわばトップの知恵袋で、経営計画を立案するだけでなく、当局(大蔵省や金融庁)や銀行間(インターバンク)での情報のやり取りをする渉外機能も持っています。まさに経営トップの頭脳でもあり、目でも耳でもあるわけです。