元海自特殊部隊員が語る「尖閣諸島、北朝鮮以上の、この国の危機」

最前線の自衛官は国のために死ねるのか
近藤 大介, 伊藤祐靖 プロフィール

消去法で残ったのが海上自衛官だった

近藤: 『邦人奪還』のラストシーンでは、思いもよらないどんでん返しが記されていますね。あの意図は?

伊藤: それは、まあ……。

近藤: そうですね。まだこの小説を読んでいない方もいらっしゃるでしょうから、この質問はやめておきます。

ともあれ『邦人奪還』は、ぜひとも映画化すべきです。これだけリアルな原作があれば、後世に残るような日本映画の傑作が生まれると思います。

伊藤: ありがとうございます。実は、新潮社の方にはそのような話がポツポツと来ているそうで、私としても前向きに検討していこうと思っています。

近藤: 楽しみにしています。ところで、今日は初対面なので、少し伊藤さんご自身のことも聞かせて下さい。

伊藤さんは茨城県で育って、高校時代から陸上選手として名を馳せ、日本体育大学に進学し、卒業後は地元で体育教師になることが内定していた。それが一転して、自衛官の道へ。一体どんな心境の変化があったんですか?

伊藤: 当時、体育教師としての未来の自分の姿を思い描いてみて、興奮できなかったんです。このまま行けば、自分が一生、不完全燃焼で終わってしまうのではないかと。満足感、達成感、幸福感のない人生ですね。

近藤: なるほど。

伊藤: それで、完全燃焼できる職業は何だろうと、いろんな職業を考えていった。その結果、消去法で最後に海上自衛官が残ったわけです。

近藤: 同世代の者として、その気持ちは理解できます。われわれが若かりし頃は、バブル経済の絶頂期で、社会全体が浮かれていたけれど、その裏返しで猛烈な虚無感もあった。私も、同級生の多くが官僚を目指す中、伊藤さんと同じような思いを抱いて、消去法で雑誌のジャーナリストになりました(笑)。

でも、なぜ陸自や空自ではなく、海自だったのですか?

 

伊藤: 陸自は、日本国憲法で海外の戦争には派兵しないことになっているので、存在自体に矛盾が多い。空自は、自分が第一線に就く頃には、無人機やドローンが主力になる。そんなことを漠然と考えたんです。

それに較べて、海自こそが、これから日本のシーレーンを守る主流になるのではないかと。やはり消去法の人生ですね(笑)。