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なぜ、コロナでも働き方を変えられない企業が多いのか?

「やらない理由」が浮かぶ思考回路とは
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、多くの企業がテレワークのような働き方の改革を迫られました。その結果、コロナ禍という想定外の出来事は、企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)に対応できるかどうかを示す「踏み絵」となっています。

不安定な時代に求められる「問題発見力」を身に着ける方法を説いた最新刊『問題発見力を鍛える』を刊行したばかりの細谷功氏が、コロナ禍で変われる企業・変われない企業の違いを伝授します。

新型コロナはDXの踏み絵となった

Web会議にテレワーク、キャッシュレス決済、脱ハンコにペーパーレス化……。これらは全てこの数か月の新型コロナ騒動で加速されたことでビジネス界あるいは社会全体で進展した(しつつある)変化です。

ところが元々これらは新型コロナ騒動の前から「デジタルトランスフォーメーション」(DX)という形で日本企業に必須の変革と言われていたものでした。

掛け声だけは大きかったものの遅々として進んでいなかったデジタル化が新型コロナという究極の外圧によってようやく加速されたというわけです。

新型コロナ対策として急速に拡大したテレワーク(photo by iStock)

平成の「失われた30年」における日本のGDPの低迷の原因の一つがデジタル化への対応の遅れだとも言われます。

デジタル化の遅れの象徴ともいえる決済に関しても、ようやくここに来て多少進展してきたものの、先進国のみならず新興国にも(むしろデジタル化の進展は新興国の方が速い)大きな後れを取ってきました。

新型コロナウィルスの「襲来」はこのような動きに大きな波紋を投げかけました。

 

「外圧」が日本社会を変えてきた

これまでも、明治維新の大きなきっかけとなった「黒船の来襲」や世界第二位のGDPへの急速な経済成長への転換点となった第二次世界大戦など、日本社会が大きな転換点を迎えるときには内部の変革へのモチベーションよりも「外圧」が大きな役割を果たしてきました

こうした流れがある一方で、これだけの強烈な外圧を受けても、依然としてテレワークはおろかペーパーレスや脱ハンコも依然として全く進まない会社も存在し、買い物でも相変わらず現金をやり取りする顧客やいまだにデジタル決済を取り入れていない商店やレストランも多数存在しています。

このような動きからはっきりしたことは、新型コロナはデジタル変革に向けての踏み絵となったということです。

遅々として進まなかったテレワークやデジタル化に「ようやく千載一遇のチャンスがやってきた」と一連のコロナ騒動を大きな機会ととらえた人たちも多かったことでしょう。

デジタル化を一刻も早く進めたい変革推進派の人たちにとっては、「頭の固い旧世代」や「デジタル化を試みもせずに毛嫌いしている守旧派」たちを一気に納得させて先に進めるための不連続な機会としてこれ以上のものはなかったからです。