日産は過去最悪の4700億円の赤字見通しを発表した photo/gettyimages
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過去最悪の「赤字」で、いよいよ「日産ショック」が本当にやってくる…のか?

そのとき銀行は、そして株価は…

日産自動車や三菱自動車が大幅赤字を計上するなど、主力企業の4~6月期決算では製造業へのダメージが浮き彫りになってきた。よもやの「日産ショック」まで語られる中にあって、もし日産に万が一のことがあった場合には、金融システム不安が懸念されるような銀行への影響はどうなるのか――。

今回、新作小説『よこどり 小説メガバンク人事抗争』で銀行の在りようや、銀行員の生き方を斬新な切り口で描き出した作家の小野一起氏と、メガバンクの現役幹部と元日銀幹部らが緊急会談。コロナ禍における日本企業と銀行の最前線についてリアルに語り尽くした。

メガバンクの大口投資先も「安泰」ではなくなってきた photo/gettyimages
 

日産が「4700億円赤字」の衝撃度…!

小野 主要企業の2020年4~6月期決算が出てきました。ANAやJALの大幅赤字は、国際線がほぼストップしていたので想定内でしたが、日産が2021年3月期決算の見通しを過去最悪の4700億円の赤字としたのは、ぎょっとしました。

コロナショックで消費者の財布の紐が強く締まり、グローバルに自動車という主力商品の需要の落ち込みにつながった。コロナショックは外食や観光等の目に見えていたサービス業への打撃から、自動車などの耐久消費財の売上にも本格的に影響を与え始めたともいえるでしょう。有価証券報告書によると、日産は今年4月以降に、8000億円以上の資金調達をして、財務の守りを固めている状況です。

メガバンク部長A(50歳代) 日産の場合は、自動車需要の落ち込みの問題だけでなく、日産の経営問題でもあります。4~6月期でみても、主力の米市場での販売の落ち込みは3割程度。それに比べて日産は半分に落ち込んでいますからね。そもそも、魅力的な車を市場に投入できていません。トヨタが発表した4~6月期決算は純利益が前年同期比74%と大幅な減少になったものの、1588億円の黒字を確保しました。世界の主力自動車メーカーが軒並み赤字に転じる中で、黒字を確保したことで、日産との地力の差がますます鮮明になりました。

北米の自動車販売マーケットが急減速する中で、トヨタは中国での販売増とコストカットで黒字を確保しました。コストカットの背景には、トヨタの購買力のパワーも見逃せません。例えば、日本製鉄など鉄鋼業は大幅赤字になりました。自動車の原材料となる鉄の値下げを飲ませるパワーがトヨタにはあるという見方もできます。