被害後、周囲の反応で子どもを傷つけないために

齋藤さんによれば、そうした心や体への悪影響は、加害者、被害者の性別に関わらず生じるという。

「男性から男の子への性犯罪では、被害の後に『自分は同性愛者なのだろうか?』などセクシュアリティの混乱が見られることもありますし、遊びの延長として周りの大人に被害が軽視されやすい傾向にあります。男児でも、女児でも、心理ケアが必要なことには変わりはありません」

性犯罪は自尊感情がひどく傷つけられる犯罪。そう周囲が理解して対応できない場合、子どもをさらに傷つけてしまうことになる。

「保護者の側にも、動揺や葛藤が生じて『どうしてあんな場所に行ったの』『なぜ言わないの』と言ってしまいがちですが、どうか責めないでほしいです。子どもは十分傷ついて、自分を責めています。信じて話をよく聞くように心がけましょう。あなたの変化に気づいているし、あなたは悪くない。あなたを心配しているし、あなたが何かを話したいときには話してほしいと思っているということを絶えず伝え続けることが大切です」

子どもが性被害を訴えた場合の相談先も知っておくといい。
被害後、速やかに相談機関につながることで、回復が早くなったり、回復までの道のりがより穏やかに過ごせたりすることがあるからだ。

「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(1)や、全国被害者支援ネットワーク加盟の被害者支援センターで、電話相談を受け付けています。どこにどのように相談していいか分からないときに、相談先の紹介をしたり、いま行うべきことを一緒に考えたりします。

警察に向かう場合には、弁護士に同行してもらうと手続き等がよりスムーズになる場合もあります。レイプの場合は、証拠の保全も重要になります。被害直後に、まずはワンストップ支援センターに連絡すると、証拠の保全について相談できます。警察に届け出た場合、(産婦人科や泌尿器科での)検査費用の補償も受けられます」

日本には、性的コミュニケーションが軽く捉えられる傾向があり、それが性犯罪を告発することを妨げている。防衛は必要だけれど、それだけでは子どもを守れないこともある。

「無理やり性的な行為をすることは悪いことだ」という共通認識を、社会全体で持つことが不可欠だ。

少しでも嫌だと思ったら、声をあげていい、恥ずかしいことじゃない。
被害者の気持ちになって、一緒に戦う人が増えてほしいと思う。
卑劣な性犯罪をなくす責任は、私たち一人ひとりにある。

子どもたちの笑顔を守るためにも、大人たちがまず考えなくては。photo/iStock
1)性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター
被害直後から、相談や医療、心理的支援、捜査支援、法的支援などの総合的な支援を一か所で提供。
各都道府県のワンストップ支援センター 一覧
http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/index.html

2)警視庁性犯罪被害相談電話 全国共通番号 #8103