信じられない気持ちが子供を傷つけることも

しかし、十分備えていても、被害に遭う可能性はある。その際にはどんな対応をしたらいいのか。

性暴力被害者の心理に詳しい、目白大学心理学部心理カウンセリング学科専任講師の齋藤梓さんは、次のように話す。

「性犯罪が起きた時には、親も衝撃を受けます。まさかそんなと、最初は信じられず子どもの話を否定してしまったり、あるいは子ども以上に泣いてしまったりする。自分が目を離したから・言い聞かせていなかったから(被害に遭った)と自分を責めるなど、動揺がとても大きいのです」

また、子ども自身が、そもそも親に被害を言い出しにくいという。
その理由として、「加害者に脅されている、話すと親は怒ると思っている、そもそも何をされたか理解できていない、なども多いですが、『親に心配や負担をかけたくないために』黙っている子どももたくさんいます。

しかし勇気をもって親に相談した子どもが、親から『あまり人に言ってはダメだよ』と言われて、『これは話してはいけないことなんだ』と思ってしまい、それ以上人に相談できなくなるということも、よく生じます」

親は親で、『友達にも自分の親にも相談できない』と思い、抱え込んで悩んでしまうことも多いという。

齋藤 梓さんは、臨床心理士として、長年公益社団法人被害者支援都民センターにて殺人や性暴力被害等の犯罪被害者、遺族の精神的ケア、およびトラウマ焦点化認知行動療法に取り組んできた。著書に『性暴力被害の実際―被害はどのように起き,どう回復するのか』(金剛出版)がある。

被害にあった子どもたちは、体的不調や精神的不調をきたすことが知られています。不眠、食欲不振、特に精神的影響は深刻で、被害直後はもちろん、被害から何年も経った後に影響があらわれる場合もあります。リストカットを始めたり、学習に集中できなくなる子もいて、不登校になったり、進学をあきらめざるを得ない子もいます」

体の変化、精神的な不調など子どもの変化に気づくことも大事。photo/iStock