MEC Industry社鹿児島工場完成イメージ
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10年後、日本の建築は「木造」が当たり前になっているかもしれない

三菱地所が6社と組んだプロジェクト

提供:MEC Industry株式会社

2020年1月、日本の建築、そして林業に新風を巻き起こすかもしれない会社が生まれた。その名はMEC Industry株式会社(以下MI社)。デベロッパー大手の三菱地所をはじめとする7社が共同出資し、鹿児島県・湧水町を拠点に、木(もく)を建材として活用する工場を設立する予定だ。

MI社の特徴は、原木の調達から製造、販売までを一社で行うビジネスモデルだ。今までの林業・製材業に存在しなかった、「川上から川下まで」を統合する同社の戦略は、今後どのように展開していくのか。同社代表取締役社長に就任した森下喜隆氏に話を聞いた。

実現までに5年かかった

MI社の事業は、従来RC(鉄筋コンクリート)造やS(鉄骨)造だった中層から高層建築物向けに、木材を取り入れた新建材を提供する「新建材事業」と、プレファブ化による戸建て住宅等を提供する「木プレファブリック事業」の二本柱からなる。

これらの事業において、原木の調達、製造、販売に至るまで、一気通貫で手がけるのが最大の特徴で、これらによって、建築コストの上昇および作業現場における人的負担の軽減、更に木材需要の拡大を通じて森林資源を循環させ、林業の活性化にも貢献が期待できるという。

MI社の代表取締役社長に就いたのは、森下喜隆氏。三菱地所で関連事業推進室長を務め、MI社設立のきっかけになった社内の提案からおよそ4年間、関わってきた人物である。

森下:事業内容だけ聞くと、デベロッパーがなぜ木材を扱うビジネスに参入するのかと驚かれるでしょうね。正直に言えば、2016年に企画した当初から、木材の製造販売の一括化というビジョンが完成していたわけではありません。

元々は上昇が続いていた建築コストを抑える手段を研究する中でCLT(クロス・ラミネーテッド・ティンバー。詳細はこちらの記事を参照)という新たな材に出会ったのがきっかけで、これを建築の世界で効率的に活用する方法を模索していったところ、木材の調達や林業が大きな課題を抱えていることがわかりました。

三菱地所では様々な事業に関わった森下喜隆社長

例えば現在日本の森林には、 木が伐採に最適な時期を迎えているのにもかかわらず、国産材の需要が不足していることが大きな問題になっています。 これは従来の木材の供給フローが、川上から川下までプロセスごとに分断されていたため、 ユーザーニーズを直接製造に反映する機能が弱く、中間コストが発生していたことで大規模・中高層建築に市場拡大できなかったことが理由の一つです。

そこで、CLTの活用を前提にすれば、そうした木にも需要が生まれる。これは森林資源の循環という観点からも意義があるし、林業に従事する人にとってもメリットがある。もちろん我々としても低価格で材料を確保できるという恩恵があります。自分たちで工場を持って製品に責任を持つことから取り組めば、三方良しにつながると考えたのです。

自分たちで確かめるしかなかった

とはいえ、実際のビジネスとして立ち上げるまでには、超えなければいけないハードルは少なくなかった。戸建てなど低層建築で木材を活用することは当たり前のことだが、中層から高層建築に木材を使った例は、いまだ多くはない。

強度、耐火性など本当に使えるのか、技術的に検証する必要性は、計画の当初からあった。特に同社が積極的に活用を目指すCLTは、1995年ごろからオーストリアを中心に活用が開始した。

CLT自体が誕生して20年程度で、海外でも10階建て程度の建築物までしか使用実績がなかった。日本では、建材として使うためにはJAS認定を受けなければならないが、CLTがそれを受けたのは2013年のことだ。

森下:CLTは、木の板を並べた層を互いに直角に交わるように積み重ね、接着したパネルのことです。普通の材木に比べて強度が高い上に、コンクリートよりも軽いし、加工もしやすいことが知られていました。

しかし、日本の中高層の建築物において、どのような使い方が鉄やコンクリートよりも優れているかは、自分たちで確かめるしかなかったのです。新規事業としてスタートして新会社が設立されるまでに4年間かかったのも、それが最大の理由でした。

ただ、この点、我々はデベロッパーですから、自分たちが施主の物件で確認することができたことは幸運だったと言えるでしょう。既に仙台市の10階建て賃貸マンション(2019年に竣工した「PARK WOOD高森」)では床材としてCLTを使用していますし、千代田区でもCLTを活用した8階建ての賃貸オフィスビル(「PARK WOOD office岩本町」)を今年竣工しました。

このように、徐々に実績も重ねてきました。ただ、最初にCLTを実際に投入した、鹿児島県宮古島市のみやこ下地島空港では、同業他社に「(三菱)地所は何を始める気ですか」と不思議な目で見られましたね。

みやこ下地島空港の内観

デベロッパーが空港建設に関わるだけで珍しいのに、しかも木造ですから、当たり前ですよね。沖縄は国内でも高温で雨が多いため、木材にとっては有利な環境とは言えません。特に木材にとって大敵となるシロアリも湧くので大変です。

完成までには様々な課題が出てきましたが、ある意味いちばん木造でやりにくい場所で成功することで、技術面における信頼性にも自信が持てるレベルになりました。今では「リゾートに相応しいデザインの空港」と高い評価をいただいていますから、挑戦してよかったと思っています。

最強のチームが集まった

創業から80年以上、スリーダイヤモンドの中核企業のひとつである三菱地所にあって、木材の活用は非常にチャレンジングな事業であることは間違いない。

森下氏が三菱地所に入社したのは1990年。バブル真っ只中のデベロッパーで、土地の有効活用事業で開発を担当した後、住宅事業会社の設立、マンション管理会社の合併、不動産流通会社の買収等の多岐に渡る事業に関わってきた。

デベロッパーの枠にはまらない事業に関わり続けてきた森下氏ならではの新事業が、木を使ったビジネスモデルの再構築だ。

森下:MI社は、三菱地所に加え竹中工務店、大豊建設、松尾建設、南国殖産、ケンテック、山佐木材という7社の出資を仰いで、設立された会社です。デベロッパーからゼネコン、製材まで、様々な業種の企業が手を組んでいます。

三菱地所として、そして私自身がかねてから仕事上でお付き合いのあった企業もいらっしゃれば、そうでない企業もあります。

7社の合同会見。左からケンテック長谷部義雄社長、松尾建設中嶋孝次常務、竹中工務店佐々木正人社長、森下氏、三菱地所吉田淳一社長、大豊建設大隈健一社長、南国殖産永山在紀社長、山佐木材有馬宏美社長

今回集まった7社は事業を進めるにあたり「最強のメンバー」だと思っています。それぞれ長い歴史のある企業ですし、社風も違いますが、木材を建築に活かしたいという強い思いは共有しています。7社の力を柔軟に取り入れることで、MI社ならではの革新的イノベーションが起こせると確信しています。

10年後には売り上げ100億円企業に

20年1月に設立した同社は今、本格的稼働に向けて最終準備を進めている。8月には鹿児島県湧水町で工場の建設に着手、2021年4月からは、同社の主力商品となる(仮称)配筋付型枠や木プレファブ住戸の販売もスタートする。

また、「10年後に売り上げ100億円を目指す」という具体的な数値目標も示された。

森下:湧水町には何度も足を運んで、地元の方にも様々な話を伺ってきました。のどかな山あいの風景ですが、町にはかつて木材を加工する工場だったという場所が残っていました。

かつては林業が盛んな場所でしたが、時代が変わり今はそうでなくなっている。私たちが新たに工場を作ることで、再び湧水町を林業で活気のある街に戻す、その一端を担えるのではないかと考えています。

今後の展開について、手応えは感じています。木材は、鉄やコンクリートにくらべて、単純な強度は劣る場合が多いですが、加工の容易さや仕上げ材としての機能等、優れている点が多くあります。

また、最近日本で多発している集中豪雨による土砂災害に関しても、木材活用を通じた森林資源の循環は防・減災効果が高く、社会課題解決の一助になると考えています。

CLTの製造現場

せっかく、日本は木材という素晴らしい資源に恵まれているのだから、それを活かさないのはもったいない。新たな部材が登場したことによって、それを使ってみたいと挑戦してくれる人も出るでしょうし、それが設計やデザイン面での新たな発見を生んでくれることも期待できます。

10年、20年後、気がついたら身の回りの建物の多くに木材が使われていた。そんな世の中になっているのが、我々の理想です。そして、それが現実になれば、10年後に売り上げ100億というのも、結果として達成できると考えています。

無理にランドマークを立てる意識はなく、木材のみで建てる建築にこだわっているわけでもない。文字通り「適材適所」で、あらゆるエンドユーザーが満足してもらえる商品を開発して提供する。地味かもしれませんが、それが当社の役割だと思っています。

人口減少による経済の成熟と労働力不足。気候変動による自然災害の増加。日本の建築業界は様々な問題に直面している。そしてそれらはいずれも一刻の猶予もないものばかりだ。しかし、それは同時に新たなイノベーションを生むきっかけでもある。MI社の誕生も、そのひとつと言えるかもしれない。