那覇の街並み〔PHOTO〕iStock

コロナ危機の沖縄が抱える「GoToトラベル」と「政府の無策」へのいらだち

直面した「大きなジレンマ」

10万人あたりの新規感染者数、全国最多

海に囲まれた沖縄では、幸せも、禍(わざわい)も海からやってくるという言い伝えが数多く残っている。東の海のかなたにあるニライカナイから神が訪れ、五穀豊穣をもたらすという「ニライカナイ信仰」は、その代表格だろう。

わざわいを海の向こうへ追い返し、海の向こうから入れないための行事も各地に根付いてきた。

笹舟にバッタなどの虫を乗せ、海に流す「アブシバレー」は、「この島は住みにくいのでどうか海のあちらに行って存分に暮らしてください」と害虫たちを送り出し、島の豊作を祈願する行事だ。

石垣市白保には「シマフサラシ(島腐さらし)」がある。馬の生血を染み込ませた縄を集落の入口に張ることで、疫病などが集落に入り込むことを防ぐと考えられている。嫌な臭いを放ち、この島(集落)は腐っていると見せかけることで、無病息災を願うのだ。

与那国島では、畳1枚ほどの大草鞋(わらじ)や、鍋をくりぬいた鉄の米粒を作り、海に流す。「この島にはこんな大きな草鞋を履いて、こんな固い米を食べる人間が住んでいるぞ、怖ければ近寄るな」というメッセージを海の向こうに送っている。

このように、古くから疫病と向き合い、恐怖を抱き、用心し、備えてきたはずの沖縄で今、海の向こうからやってきた新型コロナウイルスの感染が拡大している。

6月末の那覇空港〔PHOTO〕Gettyimages
 

沖縄県内の新型コロナウイルス感染者数は7月後半から増え続け、県のまとめでは7月の1カ月間で計253人。8月に入ると加速度的に感染者数が増え、一日の新規感染者数は8月7日に三桁の100人となった。

8月9日にはキャバクラなどの飲食店でクラスター(集団感染者)が発生した沖縄随一の繁華街、那覇市松山地域を対象に約2000人をPCR検査した結果が判明したこともあり、過去最多の159人の感染が発表された。

3月からの累計で1404人、そのうち7月から8月13日までで1262人を数える。

1週間の新規感染者数を10万人当たりでみると、7月30日時点(24~30日)で11・12人と、東京の12・93人、大阪の12・19人に次ぎ、都道府県別で3番目に多かったが、翌7月31日時点で15・31人、東京、大阪を抜いて最多となった。

その後、8月1日時点で18・33人、2日時点で22・31人と全国最多が続き、10日時点(4~10日)では42・90人と、2番目に多い東京(16・81人)の2・5倍にふくれあがっている。8月12日時点まで13日連続で全国最多だ。