どのような組織であっても、何人か人が集まれば、自分の処遇に対して不満をもつものが必ず出てくる。これは、けっして避けられないことでもある。なぜなら、人は自己愛を前提に生きるものだからだ。
必然的に自分への評価は甘くなる。そのため、上司からの評価との間には、必ずギャップが生まれる。「俺はこんなにやっているのに、認めてくれない」、「俺は正当に評価されていない」と不満に思ってしまうのだ。
これは、プロ野球の世界においても同じことである。「俺はこんなに結果を出しているのに、使ってもらえない」などと、起用法について不満をもつ選手も多い。
私はそういった不満をもつ選手には、
「君は自己評価のなかで生きているのか、それとも他者からの評価のなかで生きているのか?」
と問うていた。
人間とは、自己評価のなかで生きているのではない。他者からの評価のなかで生きているのが現実である。
たとえば、バッティングの調子が上がってきていて、それなりに結果を残している選手がいたとしよう。その選手は、「結果を出しているのに、試合で使ってくれない」と不満を募らせている。