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# 野球

「その根拠はなんだ?」野村克也氏がつねに選手に問いかけたワケ

人を確実に成長させる言葉
今年2月に逝去した、球史に残る名将・野村克也氏。『「問いかけ」からすべてはじまる』は、亡くなる6日前に収録されたインタビューを書籍化したものだ。この本で野村氏は、選手に対し「その根拠はなんだ?」とつねに問いかけていたと明かす。そうすることで、選手がグングン成長するからだ。仕事、子育てなど、さまざまなシーンで役立つこの「魔法の言葉」を、ぜひみなさんも自分のものにしてほしい。

つねに「根拠」を意識させる

「その根拠はなんだ?」

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この問いかけを、私は多くの選手たちにしてきた。とくに私が育てた古田敦也、矢野燿大、嶋基宏といったキャッチャーたちには厳しく問うてきた。

守備を終えてベンチに帰ってくる彼らに、

「なぜ、あの勝負球を要求したんだ」

「どうして、もう1球外さなかったんだ」

「あのコースに投げさせた理由はなんだ」

……など、1球の根拠をしつこいくらいに問いただした。

キャッチャーの仕事は、ピッチャーの投げる1球、1球を指示して、試合を実際につくっていくというものだ。まるで、ドラマの脚本家のようなものだ。

その筋書きを書く人間が、根拠もなく、なんとなく真っ直ぐを投げさせました、カンであのコースにしましたといった姿勢で野球に取り組んでいるのだとしたら、無責任以外の何物でもない。

新人キャッチャーたちは最初のころは、私の問いかけに口ごもり、明確な理由を答えられないことも多い。

「根拠もなくサインを出すなんて、無責任なことはするな!」と、私に叱り飛ばされることもよくある。

 

しかし常に近くにいる私に「根拠」を問い詰められているうちに、彼らも漫然とプレーをすることがなくなり、考えて取り組むようになってくる。

常に根拠を意識して行動する人間は、漫然と行動する人間よりも確実に成長していく。これは野球にかぎらず、どのような分野のことでも同じだろう。