純利益は5割減!地銀の収益は悪化し続け、5年もつかどうか…

未来の銀行はどうあるべきか・前篇
津田 倫男 プロフィール

その結果が以下の図表だ。対象は上場銀行のみ、しかも外銀である銀行や二重上場しているところは外してある。

銀行の稼ぐ力を見るには本来は業務純益(一般企業の経常利益に概ね相当)が適当だが、データがそろっている純利益(最終利益)を分析に用いた。

結論はこうだ。

1)最終収益(コロナ倒産の引き当てを十分に積む前)は前年(2020年3月期)比で2割強減。赤字決算行も3つ
2)大手も地銀もほぼ2割減という数字は共通だが、5年前に比較すると地銀全体で5割以上減っている
3)5年間の減少額は大手が4600億円強と全体の減少額6300億円の過半を占めるが、地銀全体の1600億円強という数字は地域金融機関の深刻な経営状態を表している
4)地域的には東北、関東、甲信越北陸、東海、四国、沖縄が五年前比で30%台、40%台と大幅減。九州で70%台、中国地方と北海道は60%台と他地域より影響は少なく見えるが、前年比の落ち込みで53%と九州が追い詰められている
5)数年前(合併などで五年前の数字がないケースも)と比べて収益が増えた銀行は大手で1行、地銀で1つのみ。7割以上減ったところが地銀で17行ある(本集計数82行)
6)銀行収益の中期的低落傾向と来年度(2021年3月期)の更なる業績悪化が顕著。コロナ倒産が予想より増える(恐らくそうなる)と赤字決算に陥る銀行が続々出るだろう

誰が見ても、大手を除く地銀の経営状態が悪く、しかも今後、より不芳化することが明らかだ。

それに対して、合理化や合併などで対策を取っているかと思いきや、驚くほど地銀は動いていない。ネット証券のSBI、家電量販のノジマといった銀行外勢力による出資こそあれ(その一部は敵対的なものも)、地銀や大手自ら再編へ動く気配は見えない。

確かに私が最後に銀行本『地銀・信金 ダブル消滅』を書いた2年前以降、横浜銀行と千葉銀行が株式持合を行わず提携したり、システム共通化の動き、証券会社との積極的連携などの新しい動きもあるが、前述の外部勢力による浸食ほどのインパクトはない。

地銀経営陣はこれからも百年安泰と考えているのだろうか。そうでないことは直接のやり取りで知っているが、それにしても動きが遅い。

横浜銀行(photo by Wikimedia Commons)

日本的経営の美徳とされる「コンセンサス(合意)形成に手間どっている」というのかもしれないが、まったく言い訳にしか聞こえない。

「日本の銀行には経営がなく、管理しかない」という議論があるが、戦略なくして、計数と人事の管理だけやっているようなら、5年ももたないだろう

半沢直樹復活と企業買収

ところで、7年ぶりにドラマ「半沢直樹」が復活している。前作では旧敵の上役(常務)に意趣返しをして溜飲を下げた主人公だったが、その結果は予想外の子会社(証券会社)への出向。ドラマはそれから何年か経ったという前提で続いている。

前篇の展開は原作通り、事業会社でもよく見られる親会社と子会社の対立がテーマだ。

親(銀行)の子(証券会社)に対する横暴がこれでもかと描写され、親子は決定的に対立する。それは子の新たな顧客を巡る買収合戦だ。