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第二次世界大戦は「データ」の欠落が日本を「負け戦」に駆り立てた

ハイテク覇権抗争でも同じ轍を踏むのか

石破茂氏の警鐘

<……戦争の惨禍を、二度と繰り返さない。この誓いは、昭和、平成、そして、令和の時代においても決して変わることはありません。平和で、希望に満ち溢れる新たな時代を創り上げていくため、世界が直面している様々な課題の解決に向け、国際社会と力を合わせて全力で取り組んでまいります。今を生きる世代、明日を生きる世代のために、国の未来を切り拓いてまいります。……>

昨年8月15日の全国戦没者追悼式における安倍晋三首相の式辞である。今年も「恒久的な平和の誓い」に言及するなどほぼ同様な内容になるはずだ。

8月9日、長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典に出席した安倍晋三首相
 

今年の全国戦没者追悼式を前に筆者は、猪瀬直樹氏の『昭和16年夏の敗戦(新版)』(中公文庫)を読んだ。より正確に言えば、再読した。1986年刊行の文春文庫で読んでいたはずだが、正直いって、殆ど記憶に残っていなかった。

再読したのにはもちろん理由があった。7月下旬、自民党の石破茂元幹事長から長時間、話を聞く機会があった。同氏は得意分野である外交・安全保障政策について縦横無尽に語る中で、情報収集・分析(インテリジェンス)の重要性を繰り返し強調した。

その際、石破氏は猪瀬氏の著書を挙げて、1940年(昭和15年)9月に開設された首相直轄の調査研究機関「総力戦研究所」を例としてインテリジェンスの重要性に言及し、同研究所開設の経緯を詳述していると、指摘したのである。

概ねこのようなことである。40年10月に第1期研究生として30歳代の官僚(軍人と文官)と民間人の精鋭35人が選ばれ、翌年7月に日米開戦を想定した第1回総力戦机上演習計画に基づき研究生による模擬内閣が組織された。日米開戦3カ月前の41年8月には首相官邸で近衛文麿首相、東條英機陸相出席のもと机上演習総合研究会が開催された。そこで研究報告の結論「日米戦日本必敗」を披瀝した――。

だが、各種データや情報を基に分析し、日米戦争の展開を研究予測した「日本必敗」を結論とする報告書は葬られたのである。

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