「使ってもムダな人」が大多数!話題の健康食品の効果を検証してみた

急増する「尿酸値」改善商品のからくり
高橋 久仁子 プロフィール

(3)プリン体負荷後の尿酸値上昇抑制の結果を比較する

論文3の結果は、プリン体摂取後の血清尿酸値は両群間に有意差なしだが、変化量は試験群が有意に低値としている。論文4は、血清尿酸値そのものを示さずに血清尿酸値の変化量を比較し、試験群が有意に低値とのことである。

論文6の結果は、データ解析対象者全員(43人)では有意差がなく、層別解析して有意差ありとなった。プリン体負荷論文は3報とも、「有意差あり」となるのに苦労したようである。

一方、血清尿酸値上昇曲線下面積についても、論文3と4は層別解析なしで試験群が有意に低値との結果だが、論文6はこれも層別解析後に試験群が有意に低値となった。ちなみに、血清尿酸値上昇曲線下面積の減少率は、論文3、4、6でそれぞれ、14.1%(100×100.1/116.5)、2.6%(100×522/536)、4.8%(100×222.2/233.5)である。

この結果は、多量のプリン体を経口摂取した際に上昇する尿酸値をこの程度抑制したということである。これを利用すればプリン体を過剰摂取しても大丈夫、などと誤解しないでほしい。

すでに「尿酸値が高い」人

機能性表示食品の利用対象者は、「病気にかかっていない成人」である。

したがって、人間ドック等での検診で血清尿酸値が7.0mg/dLを超えて「尿酸値が高い」と指摘された人や、すでに高尿酸血症と診断されている人、痛風発作経験のある人は、尿酸値に言及する機能性表示食品の利用を考えてもムダである。

「現状の血清尿酸値は7.0mg/dL以下だが、けっこう高めだから今のうちに何とかしなければ」と考える人だけに、尿酸値言及商品の利用"資格"はある。

しかし、それも冷静に考えたほうがいい。限られた人数の被験者でおこなわれ、「有意差がある」とはいっても、その「効果」は小さいからだ。

医薬品ではなく、食品なのだから、当然のことである。40商品のどれを選ぶか、時間を使って悩み迷うより、アルコール飲料を飲みすぎない、運動不足を解消する、プリン体リッチな食品を食べすぎないなど、基本的な生活習慣の見直しに時間を使うほうが「効果」は大きいかもしれない。

届出表示の「尿酸値が高め」との文言の後ろには「(5.5(または6.0)~7.0mg/dL)」と続くが、これをきちんと読む人がどれだけいるだろうか。「そういえば、『尿酸値が高め』っていわれたな。これでも飲んでみるか」と、安易に利用する人がいないことを願うばかりである。

【写真】基本的な生活習慣の見直す方が「効果」は大きいかもしれないアルコール飲料の飲みすぎ、運動不足、プリン体リッチな食品摂取など、基本的な生活習慣を見直すほうが効果は大きいかもしれない photo by gettyimages

〈引用・参考文献〉

1 久保村ほか:アンセリンの健常者に対する継続投与時の血清尿酸値に及ぼす効果と安全性の検討 応用薬理 94, 37-42 2018

2 Hirano M., et.al.: Luteolin-rich chrysanthemum flower extract suppresses baseline serum uric acid in Japanese subjects with mild hyperuricemia. Integr Mol Med, 4, 1-5 2017

3 Kurajoh M., et.al : Yogurt containing Lactobacillus gasseri PA-3 alleviate increases in serum uric acid concentration induced by purine ingestion: a randomized, double-blind, placebocontrolled study. Gout and Nucleic Acid Metabolism 42,31-40 2018

4 T. Ikenaga et.al : Effect of phytic acid on postprandial serum uric acid level in healthy volunteers: a randomized, double-blind, crossover study NUCLEOSIDES, NUCLEOTIDES AND NUCLEIC ACIDS https://doi.org/10.1080/15257770.2019.1656337

5 清水ほか:アンペロプシン含有藤茶エキスおよびキトサン含有食品の長期摂取時の血清尿酸値への影響と安全性の評価―無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験― 薬理と治療 46、43-54 2018

6 清水ほか:藤茶由来アンペロプシンおよびキトサン含有食品の単回摂取による食後血清尿酸値上昇抑制効果の検討―無作為化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験― 薬理と治療 47、647-657 2019

7 日本痛風・核酸代謝学会ガイドライン改定委員会編:『2019年改訂 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版』 診断と治療社 2018

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