「使ってもムダな人」が大多数!話題の健康食品の効果を検証してみた

急増する「尿酸値」改善商品のからくり
高橋 久仁子 プロフィール

不可解な科学的根拠

引き続き、各商品を見ていく。

〈3〉PA-3乳酸菌

PA-3乳酸菌とは、この商品を販売するME社が保有する乳酸菌グループの中から選抜した菌株で、正式名称は「Lactobacillus gasseri PA-3」(ラクトバチルスガッセリーピーエースリー)だという。

PA-3乳酸菌を関与成分とする商品は、同社が製造・販売するヨーグルトと飲むヨーグルトが各1品目ずつである。届出表示も同じで、「……食後の尿酸値の上昇を抑制することが報告されています」なので、科学的根拠は「研究レビュー」だ。

科学的根拠として採用した文献(引用・参考文献3、以下論文3)は、著者10名のうち6名がME社所属であり、筆頭著者を含む4名が大学医学部の所属となっている。試験食品のヨーグルトも、ME社がすでに市販している商品であり、「最終製品を用いたヒト試験」をおこなったとしか思えない。

科学的根拠をなぜ「研究レビュー」とするのか、不可解である。

この実験は、プリン体と一緒にPA-3乳酸菌を摂取し、その後の血清尿酸値の変化を調べる単回摂取、かつクロスオーバー試験となっている。

論文3の内容

血清尿酸値が4.0~7.0mg/dLの男性16人を2群に分け、プリンヌクレオチド498mgの水溶液(10mL)と一緒に、試験群は「PA-3乳酸菌」入りヨーグルトを、対照群は「PA-3乳酸菌」入りでないヨーグルトを摂取し、摂取0分、30分、60分、90分、150分に採血して血清尿酸値を測定した。

2週間以上の空白期間の後、試験群と対照群を入れ替え、前回と同様の摂取試験を実施。途中、実験参加条件からの逸脱者が2名おり、結果の解析は14名でおこなった。

結果は図で示され、プリン体負荷後の各経過時間における血清尿酸値は、試験群と対照群に有意差なし。しかし、負荷0分と負荷後経過時間ごとの血清尿酸値の差、すなわち変化量で比較すると、試験群の血清尿酸値は30分および60分後では対照群と比較して有意に低値だったという。

血清尿酸値とは別に、負荷後の血清尿酸値上昇曲線下面積(=プリン体負荷後の経過時間を横軸に、経過時間ごとの血清尿酸値を縦軸にしてグラフを作成したときに描く曲線の下側の面積。単位は「mg・min/dL」など。血中濃度曲線下面積ともいう)の図も載せており、試験群が有意に低値を示したとしている。

穀類や豆類に含まれる成分

〈4〉フィチン酸(phytic acid)

フィチン酸は、ミオイノシトールに6個のリン酸基が結合した化合物で、特に穀類や豆類に多量に含まれている。金属と結合する力が強いため、カルシウムや鉄などの吸収を妨げる因子と疑われているが、一方で、この力は抗酸化作用としても期待されている。

【写真】フィチン酸を多く含むといわれる豆類豆類はフィチン酸を多く含むという photo by gettyimages

この実験も、単回摂取かつクロスオーバー試験でおこなわれた(引用・参考文献4、以下論文4)。届出表示は「……食事による血清尿酸値の上昇を抑えます」である。

論文4の内容

血清尿酸値が7.0mg/dL未満の48人(男性24人、閉経後の女性24人)を2群に分け、プリンヌクレオチド800mgを含む食事とプリン飲料50mLを一緒に、試験群は50mLのフィチン酸飲料(フィチン酸600mg含有)を、対照群は50mLのミネラルウオーターを摂取し、摂取0分、30分、60分、120分、240分、360分後に採血し、血清尿酸値を測定した。

1週間の空白期間の後、試験群と対照群を入れ替え、前回と同様の摂取試験を実施している。

結果の解析は、被験者48人全員(=FAS)分と試験実施計画適合者34人(=PPS)分とが示されている。プリンヌクレオチド負荷後の血清尿酸値は示されず、血清尿酸値の変化量の図が載っている。

これを見ると、FASもPPSも0~360分すべてで試験群が対照群よりごくわずかに低く見えるが、PPSの負荷360分後だけに有意差マークがあった。また、負荷後の血清尿酸値上昇曲線下面積も図示されており、FASもPPSも試験群が有意に低値を示したとしている。