「使ってもムダな人」が大多数!話題の健康食品の効果を検証してみた

急増する「尿酸値」改善商品のからくり
高橋 久仁子 プロフィール

ほんとうに「査読付き論文」?

〈1〉アンセリン(anserine)

アンセリンは2つのアミノ酸が結合したジペプチドで、動物の筋肉や脳に存在する。カツオやマグロなど、中~大型の回遊魚の筋肉に多く含まれるといわれる。

【写真】筋中にアンセリンを多く含むといわれるカツオやマグロ筋肉中にアンセリンを多く含むといわれるマグロ photo by gettyimages

「YS社論文」の内容

血清尿酸値が5.5mg/dL以上7.0mg/dL未満の70人を、試験群と対照群の2群(男性31名、女性4名の合計35名ずつ)に分け、試験群はYS社製の錠剤(商品MA、アンセリン50mg含有)を、対照群はアンセリンを含まない錠剤を12週間、継続摂取する。摂取開始時に加え、4週、8週、12週後に採血し、血清尿酸値を測定した。

摂取開始時と12週後の血清尿酸値はそれぞれ、試験群は5.92mg/dLと5.80mg/dL(−0.12mg/dL)、対照群は6.11mg/dLと6.15mg/dL(+0.04mg/dL)で、両群とも有意な差は見られなかった。しかし、12週後の血清尿酸値を群間比較すると、試験群のわずかな低下と対照群のわずかな増加が功を奏し、両群間に「有意差あり」と判定された。

〈2〉ルテオリン(luteolin)

ルテオリンはフラボノイドの1つで、多くの植物に存在するが、OF社論文で使われたのは菊の花から抽出したルテオリンである。

OF社論文の実験はルテオリンの継続摂取ではあるが、被験者全員が試験群と対照群の両方を経験するクロスオーバー試験となっている。実験期間は、わずか4週間である。

OF社論文の内容

血清尿酸値が4.5mg/dL~7.8mg/dLの男性30人を15人ずつの2群に分け、試験群はルテオリン10mgを含むOF社製のカプセルを、対照群はルテオリンを含まないカプセルを4週間、継続摂取した。摂取開始時と4週後に採血し、血清尿酸値を測定している。

その13日後に試験群と対照群を入れ替えて、前回と同様に継続摂取。途中の脱落者が2名ずついて、結果の解析は26名でおこなった。

摂取開始時と4週後の血清尿酸値は、試験群と対照群とのあいだに有意差はなかった。次に、血清尿酸値が5.5mg/dL~7.0mg/dLの被験者のデータを抽出して再集計(層別解析=被験者全体の中から、ある特徴をもつ被験者のデータを抽出して解析すること)したところ、摂取開始時と4週後の血清尿酸値はそれぞれ、試験群が6.18mg/dLと5.98mg/dL(-0.20mg/dL)、対照群は5.91mg/dLと6.09mg/dL(+0.18mg/dL)だった。

4週後の血清尿酸値変化量は、試験群が有意に低値であるというが、層別解析の対象者数が書かれていない。血清尿酸値の範囲を狭めて再集計したので、26人より少ないはずである。

この論文は「査読付き論文」としてパスしたとのことだが、まともに査読されていれば「再集計の対象者数」を明記せよ、との指摘があるはずである。この疑問を論文執筆者に問い合わせると、「n数10名」、すなわち再集計対象者数は10名との回答だった。