「使ってもムダな人」が大多数!話題の健康食品の効果を検証してみた

急増する「尿酸値」改善商品のからくり
高橋 久仁子 プロフィール

この謎は、「表示しようとする機能性の科学的根拠に関する補足説明資料」のなかにある「届出しようとする最終製品と臨床試験論文で使用した被験食品の同一性に関する説明」を読むことで、初めて解けた。ここでの「臨床試験論文」とは、前述したYS社論文のことである。

要するに、YS社論文で使った被験食品(商品MA)は届出しようとする商品の試作品として製造したもので、配合されている機能性関与成分や、その他の原材料及び配合量も同じで、剤形(錠剤)や製造工程も同じだから、「食品性状等の同一性は担保されると考える」のだそうである。

なお、商品MAは、YS社の商品として事業者向けに「疲れやすく、癒しを必要とする現代人に適した注目の素材です」として、5kg包装で販売されている。「試作品」として製造しているとは、とうてい思えないのだが。

「根拠論文の使い回し」は他の商品でも

尿酸値に言及するアンセリン21品目中の残る13商品の届出表示は「報告」なので、科学的根拠は「研究レビュー」である。

そしてなんと、この13商品もまた、レビューしたのはYS社論文ただ1報なのである。尿酸値に言及するアンセリンを関与成分とする商品は21品目もありながら、その科学的根拠がたった1つのYS社論文であることには驚かされた。

ルテオリンもまた、「ヒト試験」5品目、「研究レビュー」9品目の計14品目のすべてが、OF社によっておこなわれたただ1つの研究論文を科学的根拠としていた。OF社の所属員が、同社製の商品KFE(ルテオリン含有)を被験食品として、血清尿酸値の低下をヒトで調べた研究(「OF社論文」と略)である(引用・参考文献2)。

「ヒト試験」も「研究レビュー」も、科学的根拠のレベルとしては、どうやら大差ないようだ。

プリン体とはなにか?

次に、それぞれの関与成分がどのような物質なのか、また、科学的根拠とされる論文に書かれている実験方法や実験結果などから、届出表示だけではわからない「効果」の程度や問題点を確認していこう。

研究の方法は、「高めの尿酸値を下げる」と「食後の尿酸値の上昇を抑制する」とで異なっている。

前者は、試料を一定期間にわたって摂取した後の血清尿酸値の変化を調べる継続摂取試験である。後者は、試料と一緒に一定量のプリン体を1回摂取し、その後の血清尿酸値の経時的変化を調べる単回摂取試験である。

プリン体とは、プリン(C5H4N4)を基本構造としてもつ化合物の総称である。

  • (1)プリン塩基(アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、キサンチン)、
  • (2)プリンヌクレオシド(プリン塩基に糖が結合したもの)、
  • (3)プリンヌクレオチド(プリンヌクレオシドにリン酸が結合したもの)、
  • (4)細胞の核に含まれる核酸(DNAやRNA)、
  • (5)生体内のエネルギー産生に関わるATPやADP

などが含まれる。

【図】プリン塩基の化学構造式プリン塩基の化学構造式(アデニンとグアニンの例)

食品中のプリン体含有量は、上記(1)の4種のプリン塩基の合計量で示される。プリン体の代謝産物が尿酸である。

以下、科学的根拠とされる論文の内容を確認していこう。