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「使ってもムダな人」が大多数!話題の健康食品の効果を検証してみた

急増する「尿酸値」改善商品のからくり

2015年度に誕生し、“簡易版トクホ”として続々と新商品が発売されている機能性表示食品。高らかに謳(うた)われる「健康効果」は、いったいどれほどのものなのか?

2019年に急増した「尿酸値」改善商品について、その科学的根拠を徹底調査した結果判明した、おどろきの内容とは?

問題だらけの機能性表示食品

「機能性表示食品」は、事業者の責任において「科学的根拠に基づく」とする機能性を表示した食品である。安全性と機能性の根拠に関する情報などを、消費者庁長官へ届け出ている。

同じく機能性を表示できる「特定保健用食品」(トクホ)は、安全性や機能性の「科学的根拠」の妥当性について、商品ごとの個別審査に合格しなければ消費者庁長官の許可を得られない。そのため、「トクホは手続の負担が大きいから、トクホより簡単に機能性を表示できるようにする」という、時の総理大臣のかけ声のもと、機能性表示食品は2015年度に誕生し、“簡易版トクホ”、あるいは“ミニトクホ”ともよばれている。

容器包装上には「機能性表示食品」と表示し、「機能性関与成分」(機能性に関与する成分=以下、「関与成分」と略)、「表示しようとする機能性」(「届出表示」と略)、栄養成分の量や熱量(カロリー)、1日あたりの摂取目安量、消費者庁から示された届出番号などを表示することが義務づけられている。

【写真】包装紙上に表示すべきことが決められている包装紙上に表示すべきことが決められている photo by gettyimages

容器包装上の表示よりも詳しい「届出情報」は、消費者庁のウェブサイトに設けられた「機能性表示食品の届出情報検索」システム(「機能性表示食品検索サイト」と略)を利用すると入手できる。機能性表示食品の商品名、あるいは届出番号などを入力すると、「販売しようとする商品の科学的根拠などに関する基本情報」などが閲覧できるしくみだ。

筆者は、2018年度末までの4年間に届出された機能性表示食品1888品目(届出撤回品を除く)について、関与成分の種類や届出表示の内容などをトクホと対比して概観する調査を2019年におこなった。

トクホよりもかんたんに機能性を表示できるため、商品数や関与成分の種類がトクホよりも格段に多く、「ある」とはいうものの、その「科学的根拠」は薄弱であり、トクホには存在しない機能性の表示が多々あるなど、さまざまな問題点が見つかった。

その結果は、「1888商品を徹底調査!「第3の保健機能食品」を総点検してみた」で紹介した。

今回は、これら諸問題のうち、トクホにはない機能性表示である「尿酸値」に言及する商品(2015~2019年度の届出分)について、科学的根拠の問題性や、その「効果」の程度などを検証する。

2019年度に急増した「尿酸値」改善商品

2019年度末までの届出商品すべてが「機能性表示食品検索サイト」に掲載されたのは、2020年6月8日更新版である。過去5年間の届出受理件数は2954品目だが、この日までに届出を撤回した265品目を除く2689品目のうち、40品目が尿酸値関連商品であり、その初登場は制度開始4年目の2018年度である。この年度には10品目が、翌2019年度は30品目の届出があり、合計40品目となった。

関与成分は「アンセリン」単独が19品目、「アンセリン+ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボン」が2品目なので、アンセリン含有商品は計21品目である。次いで多いのが14品目の「ルテオリン」で、さらに「アンペロプシン+キトサン」と「PA-3乳酸菌」が2品目ずつあり、1品目の「フィチン酸」を合計して40品目となる。

【写真】尿酸値関連商品は40品目ほど尿酸値関連商品は、2019年度に届出されたものを含めて40品目ほどある photo by gettyimages

届出表示の内容は4種類ある。

アンセリンは「高めの尿酸値を下げる」、ルテオリンは「男性の高めの尿酸値を下げる」、PA-3乳酸菌とフィチン酸は「食後の尿酸値の上昇を抑制する」であり、「アンペロプシン+キトサン」は「高めの尿酸値を下げる」と「高めの尿酸値を下げる+食後の尿酸値の上昇を抑制する」とがある。

なお、関与成分が「アンセリン+ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボン」のものは、アンセリンだけが尿酸値に関わる成分である。

“科学的根拠”はどう示されている?

トクホが表示する機能性は、個別の審査を経て「許可を受けた表示内容」(「許可表示」と略)であるのに対し、機能性表示食品は事業者が独自に「表示しようとする機能性」である。「科学的根拠がある」とのことだが、実際には、事業者がかなり勝手なことを記述している。

届出表示の「機能性の評価方法」は3種類あり、

  1. 「最終製品を用いたヒト試験(ヒトを対象とした試験)により機能性を評価している」、
  2. 「最終製品に関する研究レビュー(一定のルールに基づいた文献調査=システマティックレビュー)で機能性を評価している」、
  3. 「最終製品ではなく、機能性関与成分に関する研究レビューで機能性を評価している」

のいずれかである。

届出表示は、科学的根拠が「ヒト試験による機能性の評価」(「ヒト試験」と略)の場合は「○○の機能があります」とか「○○に役立ちます」のような断言型である。

しかし、「研究レビューによる機能性の評価」(「研究レビュー」と略)の場合は、「○○の機能があることが報告されています」のように、「報告」という文言が必ず入る。撤回品目を除く届出受理商品2689品目のうち、科学的根拠が「ヒト試験」であるのは194品目(7.2%)であり、9割以上が「研究レビュー」である。

なお、科学的根拠が「ヒト試験」の場合は、機能性表示食品検索サイトで入手できる届出情報に、その「ヒト試験」論文が添付されている。「機能性の科学的根拠に関する点検表」をクリックしていくと、その論文が出てくるので容易に読むことができる。トクホには、そのようなしくみはない。

たった1つの論文を各社が使い回し

じつは、「ヒト試験」が科学的根拠であると主張している場合でも、注意すべきことがある。

──「販売する商品そのものでヒト試験をおこなった」とは、限らない点だ。

「尿酸値」に言及する「アンセリン」を関与成分とする21品目中の8商品は、「機能性があります」との断言型表示、すなわち、科学的根拠が「ヒト試験」の届出表示をしている。ところが、この8品目の「ヒト試験」論文は、すべて同一のものなのである。YS社の所属員が、同社製の商品MA(アンセリン含有)を被験食品として、血清尿酸値の低下をヒトで調べた研究(「YS社論文」と略)である(記事末尾の引用・参考文献1)。

届出者も商品名も異なる8つもの商品が、たった1つの論文をなぜ使い回せるのか、じつに不思議ではないか。いったいどうなっているのか?