マクスウェルの悪魔復活! ミクロの世界では時間が戻った!

量子力学は宇宙の絶対法則も破る?
高水 裕一 プロフィール

時間が逆戻りするのは、量子力学の世界だから?

「量子力学の世界では、失われた秩序さえも巻き戻せることが示された。熱力学第二法則に反する挙動は、量子世界では達成される」

ほとんどの物理法則は未来と過去を区別しません。しかし、「熱は低温から高温へ自発的に移動することはない」という熱力学第二法則だけは秩序から無秩序への一方向の流れしか許さず、それは、これまでの歴史が証明するように、決して違反することはできません。「時間の逆転」など、起こりえないのです。

にもかかわらず、素粒子1つ1つの動きを見る量子的スケールでは、時間が逆転することもありうる――レソビク博士らの実験結果は、そう物語っているのです。

いまは、これ以上のことは誰にもわかりません。しかし、私たちにとって最も手ごわい「宿敵」エントロピーといえども、盤石ではないことだけは確かなようです。今後、量子コンピュータの完成とともに、こちらの研究でもどのような発展があるか、期待せずにはいられません。

また、「マクスウェルの悪魔」 が復活して時間が逆戻りする可能性の発見は、量子世界ならば、時間についても何が起こっても不思議ではないことを改めて感じさせてくれます。

第3回では、量子力学が何かとぶっ飛んでいることをお話ししましたが、 じつは時間もそんな量子世界の一員ではないか、つまり時間をどんどん分割していくと、最後は素粒子のような最小単位に行き着くのではないか、という考え方もあります。

「時間は逆戻りするのか」という思考の旅を続ける私たちにとって、レソビク博士らの発見は、"時間の大きさ"という、次なる旅路への扉でもあるようです。

【写真】悪魔の復活悪魔の復活は、新たな時間のテーマへ続く? photo by gettyimages

この記事は、ブルーバックス 『時間は逆戻りするのか』より作成しました。

時間の不思議と逆戻りの謎を巡る旅、連載「時間は逆戻りするのか?」
次回は、9月4日の配信予定です!

好評の過去記事はこちらから

『時間は逆戻りするのか』(講談社ブルーバックス)
――宇宙から量子まで、可能性のすべて

「時を戻そう」は本当に可能になるかもしれない!

一方通行と考えられてきた時間は近年、逆転する現象が観測され、なんと「時間が消えるモデル」までもが提唱されている。ケンブリッジ大学理論宇宙論センターで晩年のホーキングに師事した「最後の弟子」が、新しい時間像。読めば時間が逆戻りしそうに思えてくる!

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