「としまえん」と練馬区民のつながりは深いという。
練馬区の成人式(成人の日のつどい)は、1977(昭和52)年以来、「としまえん」で開催されてきた。広くて安全なスペースが確保できるため小学校の写生大会が行われたり、中学生が職場体験に訪れたりもした。毎年10月に開催される「練馬まつり」の会場としても使われてきた。
「水と緑の遊園地」というコンセプトどおり、園内は四季折々の花に彩られるため、桜やあじさいを見るためにふらっと訪れる区民も少なくなかった。1967年から2004年までは、夏の間、毎週末花火が打ち上げられ、周辺の住民にとって夏の風物詩だった。
練馬区民にとって「としまえん」は、生活、いや人生に織り込まれていたと言えるかもしれない。喪失感はいかばかりかと思う。 跡地には『ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 -メイキング・オブ ハリー・ポッター』(2023年オープン予定)が建設される。
昭和の初頭、インフルエンザが蔓延するなか本格開園した「としまえん」は、令和の初頭、新型コロナウイルスが蔓延するなか閉園する。コロナの影響がなければ、もっと多くの人が最後のときを楽しめたのではないかと残念である。
「としまえん」さん、ありがとう、そしてさようなら。