「としまえん」といえばプールが有名だが、開園の3年後の1929(昭和4)年に「大プール」「小プール」が営業を開始している。当時の写真には、ふんどし姿でプールサイドを歩く男性の姿もある。
1965年には世界初の「流れるプール」が誕生した。計画のきっかけとなったのが、「誰もが速く泳げるプールが出来ないか?」「泳げない子どもでも泳いだような気になるプールが出来ないか?」という発想だったという点が何とも微笑ましい。
前例がないため、スタッフは身体に紐をつけて多摩川に入り、流速やプール幅を検討したという。その結果、12メートルが適当だと判断したが、財務経理の担当者は4メートルくらいが妥当と提案。「それではどぶ川と同じじゃないか!」というと、「幅が広ければ広いほど建設費が膨大になります」と受け入れられず、最終的には中間をとって8メートルに落ち着いた。
流れをつくるためのポンプの数についても周到な計算が行われ、9~10台という数字が割り出された。しかし実際に稼働してみると、プールに客が入れば入るほど、ポンプが少なくても流れができることがわかった。現在は5台のポンプが稼働しているという。
その後、「波のプール」「こどものプール」を増設し、バブル真っ只中の1988(昭和63)年に大型ウォータースライダー「ハイドロポリス」を導入。規模は世界最大級だった。当時大学生だった筆者も、夏の間中、プールに通い詰めた。