雑誌「Kiss」にて連載されていた板垣巴留さんのエッセイマンガ『パルノグラフィティ』が、8月6日に単行本として発売された。同日に最新刊の20巻が発売となった『BEASTARS』で多くの漫画賞も受賞している板垣さんの生まれ育った環境が垣間見え、クスッとしながらほろりとしつつ、子育てや他人との暮らしのヒントも満載の一冊だ。

その発売を記念した無料試し読み記事第2弾。テーマは「子どもを伸ばすもの」。小さい頃から絵が得意だった板垣さんが「ダメ出し」された切ない思い出とは。

マンガ/板垣巴留 文/FRaU編集部

「ダメ出しされた記憶」が残すもの

パルノグラフィティ』の連載開始のとき行われたインタビューが、今も読み返せるのだが、単行本と合わせて読むと改めて味わい深い内容になっている。
この中で板垣さんが自身の育った家庭環境について、「いい具合に無関心というか、やりたいことをやらせてもらってました」と歯切れよく述懐しているのは、とくに印象的な言葉である。

それは、「ありのままをみとめてもらった」ということだろう。
たとえ、外部から理不尽な否定をされても、きちんと自分が認めてもらっていると信じられると、人は救われる。いわゆる「自己肯定感」だ。

例えば、学校や習い事の場で、理不尽にダメ出しをされることがある。
SNSでも拡散され話題になった例では、漢字の書き取りや国語の問題がある。微妙にナナメになってないから×にされる「四」の字。絵を見て「これは何でしょう?」という問題に「パプリカ」と書いたら×にされて「ピーマン」と書かれた赤字。教科書に書かれていたそのままの言葉でなかったら×にされる回答。そんな「え、どうしてダメなの?」という理由がわからないものは、ひそかに子どもたちの自信を失わせ、心を傷つける。

もちろん、必ずしも先生がひどいというばかりではない。たとえば板垣さんがくらった「ダメ出し」についていえば、幼稚園の先生の気持ちもわかるし、優しく伝えようと先生なりに考えて言葉を選んでいるのも見えてくる。

ただ、子どもが「否定された」と感じたそんなときに、「認めてくれる親」「寄り添ってくれる大人」の存在がどれだけの救いになるのか、板垣さんのエッセイから伝わってくるのだ。

母親の存在の大きさ

アニメでも人気の漫画『BEASTARS』の板垣巴留さんによるエッセイマンガ『パルノグラフィティ』第2話には、板垣さんが5歳のときに体験したそんな「自分が自信をもって描いた絵をダメ出しされた記憶」が描かれている。それでもその後大人になり、美術大学に進学し、こうして漫画家として活躍するに至ったのはなぜか。

そこには絶対的な母親の存在があった。
板垣さんの物語から、子どもを認めてあげることが生み出す効果、そして逆の効果も痛感させられるのだ。