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コロナ大流行と相次ぐ異常気象…日本人が「自然の逆襲」を乗り越える方法

エコロジー的発想のすすめ

新興感染症の流行と相次ぐ異常気象――。生態系への介入が引き起こす「自然の逆襲」が加速化している。私たちは自然とどのように付き合えばよいのか?

「知の巨人」立花隆さんは、デビュー作『思考の技術』の中で、私たちに重要なヒントを教えてくれている。「自然と折り合いをつけるために我々が学ぶべきものは、生態学(エコロジー)の思考技術である」と。

生態学とは「自然の叡知」である。50年間読み継がれた名著が私たちに伝えるものとは?

自然界に充満する生命力

あらゆる生物は、環境に働きかけて、自分に適した環境を作り出そうとする。なにをもって適した環境というかといえば、個体としては生育、種としては繁殖の度合いによってはかられる。つまり、どんどん育って寿命が伸び、子孫がどんどんふえていくということが、生物学的な成功である。

しかし、あらゆる生物にとって、完全な最適条件が現出したら、大変困ったことになるのである。というのは、どの生物も、潜在的には恐るべき繁殖能力を持っているからである。

ダーウィンが、象の繁殖能力から、こんな計算をしている。象は30歳になって生殖をはじめ、90歳まで生殖能力を維持する。この間平均6頭の子供を産む。この子供たちが、途中で若死にせずに、みな大人になるものとするならば、一対の象から出発して、750年後には1900万頭の象の大群が出現することになる。象は、動物の中では、最も繁殖能力が低いほうである。その象にしてこうなのだから、繁殖力の強い種では、それは天文学的な数字になる。

 

イワシの産卵数が2万から10万であることは先に述べた。植物になると、もっとすごい。雑草の一種であるオオアレチノギクは、1本から7万~70万の種子を生産する。

自然界は、こうした潜在的な生命力で充満している。日本のどこでも適当な地面を1平方メートルとってみると、そこには数十万から、数百万の植物種子がころがっている。しかし、そのうち発芽してくるのはせいぜい2万足らずなのである。