福田康夫・元首相が明かした「父・赳夫のこと」「公文書管理のこと」

「安倍一強」とは違う、戦後自民党の姿
福田 康夫 プロフィール

福田 公文書管理法は、総理が在任中に作成した文書など、政府や自治体の公文書を管理するための法律です。赳夫の秘書を務めていた頃、地元・前橋市内の終戦直後の写真がアメリカの国立公文書館で保管されているのを目にし、人の国のことまでお節介だとは思ったものの、公文書をしっかり残し、国民が後で正確な事実を知ることができる制度が日本にも必要だと痛感したのです。

日本国の記録が、日本の歴史そのものです。正確な記録を残していなければ、日本の歴史を客観的に評価することができません。他の国から質問されたときに、いい加減な答えしかできなくなってしまいます。

福田康夫氏〔PHOTO〕Gettyimages
 

我が国の国立公文書館にアジア歴史資料センターという組織があります。明治期からの日本の記録文書をデータベース化し、インターネットで公開しています。たとえば柳条湖事件では、誰がどこで何をしたか、現地の外交官が本省に打電した文書の写しなどでわかるようになっています。これに中国の関係者は、「自分の国に不利になるものを公開しているのか」と驚いていました。この透明性が日本に対する信頼につながるのです。

歴史の審判とは、こうした公文書によって下されるものだと思います。現役の政治家と官僚も、こうして国民の目にさらされる日が来ることを意識すれば、権力の行使の仕方や自らの言動について間違ったことはできなくなるでしょう。

身びいきのように聞こえるかもしれませんが、翻ってみると赳夫は、国の運命しか考えない生涯でした。71歳で総理になってからではなく、若き大蔵官僚だった頃からずっと国のことしか考えていない人だったと、私は父・赳夫について思っています。

(二〇二〇年二月取材、文構成・編集部)