Photo by iStock

「匿名告発」と「誹謗中傷」の違いは何か? 政府が進める危険な議論

言論規制につながりかねない

SNS上の誹謗中傷対策に絡めて、総務省が「危うい議論」を仕掛けている。政治家への批判や企業の内部通報がしにくくなる「言論規制」に通じる内容で、専門家の間でも反発が上がった。朝日新聞の藤田知也記者がリポートする。

 

波紋を呼んだ「有識者会議」での提案

問題の「提案」は、6月4日に開かれたウェブ会議でにわかに切り出された。総務省消費者行政第二課長が、事前に配っていた資料に記された「検討課題」をこう読み上げたのだ。

「円滑な被害者救済を図る観点から、開示要件である『権利侵害の明白性』について、より緩やかな要件にすべきとの考え方、意見もあるところですが、これについてどのように考えるか」

この提案はのちに猛烈な批判を浴びることになるが、まずは経緯をおさらいしておこう。

総務省は今年4月、外部専門家による有識者会議「発信者情報開示の在り方に関する研究会」を設置。6月4日はその2回目の会合だった。

研究会の目的は、「通信の秘密」として保護対象となっているネット上の情報発信者の情報について、明白な権利侵害が認められる場合に、SNSや携帯などのプロバイダー事業者が開示するルールについて改善を探ること。構成員は開示の現場に携わる弁護士や法律が専門の大学教授らだ。

Photo by iStock

名誉毀損などの権利侵害が明白なネット投稿について、被害者が投稿者を特定して損害賠償などの責任を問おうとしても、投稿者を特定するのに相当な時間とお金がかかるうえに、特定するための通信記録などが短期間しか保存されないことなどが、積年の課題だった。