世界最大の宅配便業者FedExは今年3月、米テネシー州の配送センターに荷物の仕分け作業を行う次世代ロボットを4台導入した。
安川電機の米国法人と米Plus One Robotics社が共同開発した、このアーム型ロボットはセンサーとAI(人工知能)でボックス内の荷物を識別。これらの荷物を次々と摘み上げて、別の箱に入れたり、ベルトコンベアに流すことができる。
こうした作業は人間なら誰でも簡単にできることから、「特筆に値しない」と思われる向きもあるかもしれない。
しかし、様々な物体を正確に識別し、それらの重さや硬さに合わせて適切な力で摘みあげるピッキング技術は、ロボット研究者の間では長らく「聖杯(Holy Grail)」とも称されるほど、手の届かない、実現が難しい技術だった。
実際、FedExが導入した4台のロボットも、まだ完璧に荷物を仕分けることはできず、何らかのトラブルが起きた際には配送センターの従業員が助けに来る。それでも4台のロボットを一人の従業員が管理できるので、大幅な省人化が達成できたとされる。
FedExによれば、今回のロボット導入は新型コロナ・ウイルスの感染が拡大する前から予定されていたが、それでもコロナ禍で急増した宅配物に対処する上で、こうしたロボットの必要性が改めて立証されたという。
それはまた、配送センターの従業員不足に対応すると同時に、いわゆる「密」な環境を回避して、ウイルス感染を予防する関連からも効果的と見られている。