5月12日の記事「『ペイペイキャンペーン』という無間地獄を生み出した『経営の愚さ』とは」で述べたように、雨後の竹の子のように乱立する「ナントカペイ」はいくら頑張っても高収益ビジネスとしては発展しない。
「お金」はバフェットの言うところの究極の「コモディティ」であり、商品そのものに差をつけられないからだ。
例えば、三井住友銀行で引き出した1万円札とみずほ銀行で引き出した1万円札のデザインが異なれば「偽札事件」として大騒ぎになるであろう。お札はどこであっても寸分たがわぬ同じものでなければならない。
また、同じく三井住友銀行の預金口座の100万円の残高の価値と、みずほ銀行の預金100万円の価値も全く等価である。そうでなければ金融システムが成り立たない。
だから、資金決済業務においていて差をつけるのは難しい。
そもそも、一般消費者が「資金決済」において手数料を負担することはまずない。送金手数料はあくまで送金するための手数料であり、資金決済のための手数料ではない。
例えば、口座引き落としをされるときに、引き落とされる側が手数料を支払うだろうか? また、クレジットカード決済をするときに利用者が決済手数料を請求されるだろうか?
ナントカペイにおいても状況は一緒である。
したがって、消費者から見れば、どれを使っても利用料はゼロなのだから、融資機能(カード・ローンやリボ払いだけではなく、決済日まで支払いを先送りできるのも実質的融資機能)などの「おまけ」が多いクレジットカードに優位性があるのは当然である。しかも、クレジットカードは一足先に普及していてなじみもある。