コロナがちっとも収束しないため、中途半端な日々が続いている。夏休みも遠くへ行けない。ずっと家にいて、毎日、食事を作るのが面倒だな……と思っている人にぴったりの本がある。『意識の低い自炊のすすめ』。著者は「NEWSポストセブン」など、様々なネットニュースサイトの編集者として知られる中川淳一郎さん。

「おふくろの味」は本当に「肉じゃが」なのか

本書には、著者が夫婦ふたりの自炊生活で編み出した食材の選び方と料理法、たくさん作った時のアレンジ法、買ってきた食べ物と手持ちの食材や調味料を上手に組み合わせる方法が具体的に書いてある。合う/合わない食材の組み合わせ、料理法など、読むだけでも毎日の食事作りのヒントになる。

いちばんの特徴は、この社会に浸透している「何となく」の思い込みを崩すのが、本書のテーマになっていることだ。

例えば冒頭近く、まな板に乗せられるのは、肉じゃが。「おふくろの味と言えば肉じゃが」という、社会に浸透している根拠なき思い込みに著者は異議申し立てをする。本当に? 本当に、お母さんの料理でいちばん好きだったのは、肉じゃがなの? と。子どもの頃、著者の家庭で朝食は、トースト、野菜炒めと味噌汁だったという。

家庭料理は多様だから、そこで育った人は「これが定番」だと思い込む。実際は家庭の数だけ定番があり、常識は人それぞれだ。そういうことを、著者は自分と妻の育った家庭における味付けの違いなどを例に挙げながら記していく。