「魂年齢150歳」?

――斉藤さんは少女漫画家としてご活躍されています。式町さんは、これまで少女マンガを読んだことはあったのですか。

式町:クラスメイトの女の子に少女マンガが好きな人が多くて。僕の通っていた高校は総合芸術高校で、声優や女優になりたいという人がけっこういて、マンガについてもかなり詳しかった。ただ、僕は、男の人が少女マンガってはじめはちょっと抵抗があったんですよ。だけど読んでみたら、あっ!こんなに面白いんだとハマってしまいました。

僕には耳が聞こえない親友がいて、その子になんとか僕のバイオリンを聞いてほしい、感じてほしいと、パフォーマンスで音を伝えたいと思ったのが、原点としてあるんです。マンガの世界って、まさに耳が聞こえない方に音楽を届けたいということに、すごく合致しているなと思ったんです。だからすごく尊敬のまなざしで見ています。

斉藤:それはお互いさまですよ。水晶君はこの年齢で、演奏活動はもちろん、病気やいじめと、想像を絶するいろいろな経験をされている。非常に大人びて見えるんですよね。

式町:お客さんには魂年齢150歳って言われることも(笑)。

斉藤:生い立ちがすごくドラマチックですし、精神的な面の成長もマンガでは描いていきたいですね。水晶君の本質って負けず嫌いなところかなと思っていて、様々な試練を乗り越えていける強さが、キャラクターとしても魅力に感じています。

『水晶の響』(講談社刊)

――自身がマンガのモデルになる、というのはどのようなお気持ちでしょうか。

式町:正直なところ、こういうことって、まずないケースじゃないですか。実感がなかなか湧かないんですよ。僕はこの世に生きているから3次元なわけだけど、3次元が2次元になるってことで。そしてさらに、このマンガは僕をモチーフにしたフィクション作品だから、どう展開していくんだろうと思いながら読んでいます。

斉藤:そうですよね。この先どうなるのか私もわからないんです(笑)。

式町:マンガで印象的なのは、僕が受けてきたいじめについての描写ですね。講演をやらせていただくときも、いくらおしゃべりな僕でもけっこう気を付けていて…。すべてを話してしまうと、めちゃくちゃ暗い話になっちゃうんですよ。

斉藤:そうですよね。

式町:ものすごく暗い話になってしまうから、いつもそれをうまくかわしながら、ちょっと真実を伝えつつ暗くなりすぎないように話しているんです。うれしかったのは、斉藤先生がマンガのなかで描いてくださったことによって、悲惨ななかにも明るさがあったこと。すごく明るいところも描かれていて、読んだ人たちが重い気持ちになりすぎない。それが僕はすごくいいなと思ったんです。マンガだからこそできることだなって。