身体を守るためにも「#緊急避妊薬を薬局で」

そして私は思うのだ。

もし、緊急避妊薬が薬局で手に入っていたら……。私はもっと、自分の体を積極的に守れたのではないか。自分は助けてもらえるどころか排除されるべき存在なんだと思わずに済んだのではないか、結果的に、もっと早く支援機関に繋がれて、あんな関係もっと早く立ち切れたのではないか、そしたらいまだ性暴力の後遺症に日々の生活をこんなにも妨げられることなんてなかったのではないか、様々なことを思ってしまう。

緊急避妊薬は、警察かワンストップセンターに置けば性暴力被害者の人に届くし、他の人は病院で十分、という人がいる。しかし、決してそうではないのだ。性暴力と気づくまでに時間がかかるケース、相手からの報復などを思うと性暴力の被害者とはすぐには言い出せないケース、私のように加害者と似た姿形の人が医師だったことでフリーズし、相談どころではないケースもあるだろう。また、相手から日常を監視されている場合、病院に行くこと自体が難しいこともある。

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実際、内閣府の調べでは、被害から性暴力被害者センターの電話相談に至るまでの時間について、1年以上が26.3%、緊急避妊薬の服用のリミットである72時間以内に電話相談できる人は14.7%にとどまっている。そもそも、この相談にすらたどり着けていない人が大多数であることも考慮すれば、緊急避妊薬を必要とする人には、誰にも平等に、当たり前に安心安全なアクセスが薬局にあることが、敷いては数多くの人々を救うと思わざるを得ない。

また、病院にたどり着けたとしても、責められるべきは加害者のはずなのに、被害を言い出せないことで、被害者側が今後気をつけるようにと言葉を受けることもある。もちろん、理解ある医師もいるはずだし、10代の頃から信頼できるかかりつけの産婦人科医を持てることには大賛成だ。

しかし、先日話題になったニュースを見れば、産婦人科医会の副会長のほどの産婦人科医でさえ、若い女性について「知識がない」「安易な考えに流れてしまう」と言ってしまうのだ。私が受けてきた対応は一部の例外ではなく、似たことをしている医師は他にも少なからずいるはず、と改めて感じざるをえなかった。こういう態度は隠そうとしても、患者からすればすぐに感じ取れてしまうものだ。

そして、唯一の公の機関との接触にもなり得る病院でこういった診察が行われる先に待っているのは、「誰にも相談できないという絶望感」だ。

性暴力被害は、想像を絶するほど、心と体に大きな傷を残す。せめて、ジャッジされる不安なしに、まずは妊娠不安だけからでも自由にさせてはくれないだろうか。緊急避妊薬の技術は20年も前に開発されているのだから……。まずは、女性たちが心身に向き合って、次の行動や相談先を考えることができるために、緊急避妊薬の入手をもっと簡単にしてはもらえないだろうか? しかも、緊急避妊薬は世界約90カ国で薬局で処方箋なしに手に入れることが​可能なのだ。日本にいる限り、このことは願ってもいけないことなのだろうか

今、多くの女性たちが「#緊急避妊薬を薬局で」と声をあげている

教師から長期の性暴力を受けた一人として、お願いしたい。もう、私のような思いをする人がこれ以上生まれて欲しくない。

そして、この緊急避妊薬を薬局に置くべきという主張は何も新しいことではなく、日本も加盟するWHOも国際産婦人科連合FIGOも推進する世界のスタンダードであることも付け加えたい。新型コロナウイルスの影響で、女性の暴力への脆弱性や妊娠不安の高まりの報告も多く見かける。だからこそ、この現実に目を向け、早急に変化を実現して欲しいと願うばかりだ。

少しずつだが声を上げる人も増え、緊急避妊薬の重要性を考える人も増えている。あと少しだ。photo/iStock