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そもそも次元を増やすと不安定な世界に
自然界の多くは対称性をもっているのに、なぜ時間は一方向にしか流れないのか? 古来、物理学者たちを悩ませてきた究極の問い。ケンブリッジ大学宇宙理論センターでホーキング博士に師事し、薫陶を受けた若き物理学者が、理論物理学の最新知見を駆使して、この難問に挑む思考の旅へと発ちました。

今回は、方向と同じく、時間を考える上で重要な手がかりとなる「次元数」の問題を考えてみます。

時間と次元と言えば、タイムマシン。名物改造車が時空を超えて駆け回る"あの映画"も出てきます!

時間を考える手がかり「次元数」

第2回第3回では「時間の矢」、第4回第5回では「エントロピー」と、時間と方向について「なぜ時間は一方向なのか?」という問題を考えてみました。今回は、方向とならんで時間考察に重要な手がかりとなる「次元」について考えてみたいと思います。

物理学では「次元」の数のことを「次元数」と言います。次元とはみなさんご存じのとおり、1本の直線だけの世界なら1次元、縦と横がある平面の世界なら2次元、そして私たちが生きている空間は、縦、横、高さがある立体の世界なので3次元です。

次元の例

では時間はといえば、物理学でいう次元数は「1」、すなわち1次元と考えられています。1 本の直線だけでできている世界ということです。なおかつ「方向」の特徴を加味すれば、時間はこの直線上を一方通行にしか進めず、後戻りはできません。

時間が1次元ということは、よく考えてみると、不思議なことでもあるのです。

なぜかというと、空間は3次元だからです。アインシュタインが創りだし、私たちが住むこの世界のありようをみごとに説明している相対性理論の根幹をなす考え方では、時間と空間は一体のもので、切り分けることができない不可分な関係にあるとされています。 しかも、時間と空間は対等で、そこに上下関係などありません。だから、私たちの世界は時間と空間をあわせて「時空」という言葉で呼ばれることもあります。

相対性理論の根幹をなす考え方では、時間と空間は一体のもので、切り分けることができない不可分な関係にあるとされる illustration by gettyimages

だとしたら、空間が3次元なら時間も3次元であるほうが、ずっとシンプルで、普通のことに思えないでしょうか。なぜ自然界は、時間のほうは1次元にするという不自然なことをしたのでしょうか。