コロナで貧困層急増…子どもとシングルマザーが直面する「厳しい現実」

負の連鎖を食い止める方法はあるのか
今ない仕事 取材班 プロフィール

作家の石井光太氏はインタビューの中で、「食べものが充分にない、何かが買えない、ということが貧困の根本的な問題ではなく、貧困によって、やる気や自己肯定感が損なわれてしまうことがいちばんの問題なんです」と語っていた(2020年2月18日「アット・リビング」)。

貧困によってやる気や自己肯定感が損なわれるとはどういうことか。たとえ生活が苦しくても、親とのコミュニケーションが円滑だったり、家庭以外に居場所があって救われている子どもたちもいる。

しかし、貧困状態にある子どもたちの多くは、習い事をしたり塾に通うゆとりがなく別の居場所作りが難しかったり、また、親は仕事で忙しく疲れていて時間がなく、「普通の家庭にあるような何かで褒めてもらえる経験や、親子で話をして学ぶ経験に乏しい」と、石井氏はコメントしていた。

また、まわりの友達に比べて実力発揮のチャンスがなかったり、旅行やどこかに出かけられない、物を買ってもらえなかったりなどの経験が積み重なることで、「自分には価値がない」と考えてしまい、将来への夢や希望を失ってしまいやすいという指摘もある。彼らの「失望経験の積み重ね」を止めるには、どうしたらいいのだろうか。

 

文化も変えれば、社会が変わる

先述のカタリバは2016年8月より東京都足立区より委託を受け、生活困窮世帯の子どもたちの学びと居場所「アダチベース」をスタートさせている。

アダチベースでは、学習支援や居場所づくり、食事提供以外に、地域の人々・他団体・支援企業なども巻き込みながら、ものづくり、スポーツ、音楽、家庭菜園……など、多様な体験企画を実施してきた。

拠点長の堀井勇太さんは、「元々の文化資本を育む機会が少ない環境にいた子どもたちには、何かを試してもすぐに反応があるとは限らない。色々な体験を蓄積していった時に、ひとつでもハマれるものがあればと思って、多くの種をまいておきたいと思っています」と語っていた(2019年10月28日「カタリバマガジン」)。

確かに、無気力で元々の文化資本の土壌が耕されていない子どもたちに、イベント的に一過性の機会を押しつけても、ただの時間つぶしで終わり、となる恐れがある。我々ひとりひとりや社会全体に「貧困を救う」「社会貢献をする」という視点はもちろん大切だ。しかしより必要なのは、継続的に対峙していく、一緒に考えていくという、意識なのではないだろうか。