コロナで貧困層急増…子どもとシングルマザーが直面する「厳しい現実」

負の連鎖を食い止める方法はあるのか
今ない仕事 取材班 プロフィール

厚生労働省の国民生活基礎調査では、2018年時点の「子どもの貧困率」が13.5%だったことが明らかになった。子どもの貧困率とは、中間的な所得の半分に満たない家庭で暮らす18歳未満の子どもの割合を指している。前回の2015年の調査の13.9%から、大きな改善は見えず、依然として「日本の子どもの7人に1人が貧困状態」にあることになる。

中でも、母子家庭が大半を占めるひとり親世帯では、さらに深刻な状況だ。その貧困率は48.1%に上り、半分近くが経済的に苦しい状況だ。母子家庭のシングルマザーのふたりのうちひとりが、月10万円以下で子育てをしていることになる。

また同調査の「生活意識の状況」では、母子家庭のシングルマザーの9割近くが「生活が苦しい」と回答している。子どもの貧困とはすなわち、子どもたちを育てる「大人の貧困」なのだ。

(厚生労働省 「2019年国民生活基礎調査の概況」より)

今回のこの意識調査は、2019年の6、7月に行われたものだ。現在、新型コロナウイルスの感染拡大による解雇や、雇い止めなどで雇用状況はさらに悪化していることが想像できる。困窮世帯はますます厳しい状況に陥っているのではないだろうか。

先のカタリバの支援や、全国様々な子ども食堂の活動など、民間による取り組みは年々活発になってきたように思われる。その一方で公的支援はまだまだ足りないと言われている。

 

連鎖する貧困、子どもたちを蝕むもの

しかし、公的な福祉や寄付などで、お金の支援だけすればいいものではないのが、貧困支援の難しさではないか。

そもそもここで言う、「貧困」とは何だろう。その種類には大きく分けて2つ、「絶対的貧困」と「相対的貧困」がある。

「絶対的貧困」とは、人間として最低限の生存を維持することが困難な状態。飢餓に苦しんでいたり、医療を受けられなかったりすることだ。「貧困」と聞いた時にまず、よくメディアに報じられている、飢餓状態の異国の人々の様子を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。そのため、「日本の子どもの7人に1人が貧困状態」と聞いてもピンとこないのではないか。

日本の子どもの7人に1人が陥っている貧困とは、もう一方の「相対的貧困」だ。それは、その国の文化水準、生活水準と比較して困窮している状態を指す。具体的には、収入から税金や社会保険料などを引いた「可処分所得」が全国民の中央値の半分に満たないこと。日本においては可処分所得が、中央値である年間245万円(2015年)の半分、つまり122万円未満の人は「相対的貧困」となる

貧困状態にある子どもは、往々にして標準的な生活の中での成長が難しくなると言われている。フランスの社会学者ピエール・ブルデューは個人的資産には、「文化資本」(教養や習慣、資格など)、「社会関係資本」(人との信頼やつながり)、「経済資本」(お金)の3つがあると言っている。

しかし相対的貧困状態にある子どもの保護者にはこれら3つの資本が不足しがちで、結果その子どもたちにも不足することになる。この繰り返しが「貧困の連鎖」となっていくことが、問題なのだ。