元総理通訳と国連機関の親善大使を務める女優が語る「外国語学習の真髄」

中川浩一×紺野美沙子(前編)
現代ビジネス編集部

中川:今、紺野さんがおっしゃったようなアウトプットを強く意識して勉強するっていうのは、私は何のベースもないアラビア語だからかえってできたというのはあるんですね。

エジプトで研修が始まっていきなり、大学で毎日プレゼンテーションをしなさいと言われたんです。まだぜんぜんアラビア語を話せないんですけど、やらなきゃいけない。先生は厳しい人で「それでも話せ」「浩一、話せ」というわけですよ。そうすると人間何をするか?日本人だから最初に日本語で何を話すかっていうのを考えますよね?

紺野:はい。

 

中川:まず何を話すのか日本語で考えてから、それをがんばってアラビア語にして、一生懸命覚えていく。そして、次の日にプレゼンテーションで話す。これを毎日やったんです。これがよかったのは、インプットとアウトプットが離れないことです。

たとえば日本の受験英語だと、最初に大量にインプットするじゃないですか。でも、どれがアウトプットに使える単語なのかわからないうちに次々とインプットしちゃうので、結局アウトプットのときに苦労する。

だけど、いきなりプレゼンテーションとなると、話したい単語だけをインプットしますし、それをすぐにアウトプットする機会があるんです。そうすると身に付くのも早いですし、話したいことが口から滑らかに出るようになります。英語をやり直したい方にもまさにこの方法をお勧めします。

今回のコロナの件で、出口戦略って言われたじゃないですか。それで私が思ったのは、外国語の習得も出口戦略がないといけないということなんです。というのは、さきほど述べたように、私は出口から入ったんですね。コーナーに追い込まれて「話すしかない」状況に追い詰められて、出口から入口に向かうしかなかった。でも、それが結果的に、出口を先に考えて、そこから逆算して必要なものをインプットしていく学習スタイルを生み出した。

紺野さんがおっしゃったように、まず「何を話したいのか」を考えることは、これからの日本の語学教育で、もっとやっていかないといけないことだと思うんです。何か参考書をやる、先生の書いたことをやる、ということから入ってしまうのではなくて。自分で「何のためにやるのか」を考えるのが大事です。それは留学のためにやるのか、紺野さんのように子どもたちの前でスピーチをするためなのか、あるいは単に旅行のためなのか。出口を明確にすることが、語学学習で本当に必要なことだと思うんです。

英語の自己紹介も、帰国子女でない限り、まず日本語で書かないと何を話していいかわからない。いざ外国人の前で何か話そうと思っても、英語を基軸にすると、ふつうは出てこないと思うんです。それは英語は英語で学べみたいな勉強の仕方をしてきたからです。ですけど、それは帰国子女でない限り相当困難です。

なので、私がアラビア語でやったように、恥ずかしがらずに、堂々と日本語から外国語学習を始めてみてほしいんです。なので帰国子女でない紺野さんもまだ大丈夫です。年齢は本当に関係ないと思いますよ。

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