元総理通訳と国連機関の親善大使を務める女優が語る「外国語学習の真髄」

中川浩一×紺野美沙子(前編)
現代ビジネス編集部

紺野:最初に赴任されたエジプトで、語学だけではなくて、そのような文化や習慣も洗礼のように……。

中川:本当に洗礼ですね。そういう文化も含めて学んでいく。私がこの本で書きたかったのは、文化、歴史、あるいは価値観を一緒に学ばないと、結局語学を学んだことにはならないということなんです。

よく外国語について「中川さん、なんでこういう文法になってこういうスペルになるの?」と聞く人がいますが、私は「いやいや、それは文化だから。価値観だから。歴史だから」って答えるんです。なぜなぜと聞かれても、日本人だって困るでしょう。そういうのも含めて、全部受け入れましょうということなんです。それが実は、語学習得の最短の道なんです。

私も、そうして丸ごと受け入れてきた結果、アラビア語を短期間でマスターできたのかなと思います。私がこの本をなぜ書きたかったかというと、24歳でなんのベースもなくアラビア語をやれと言われて、苦労はありましたがなんとかできるようになった。そのことを伝えたかったんです。

本に対する反響の中で特に嬉しかったのは、「帰国子女じゃなくてもいいんだ」とか「日本語をもっと使って勉強していいんだ」というものです。私のように帰国子女じゃなくて、アラビア語のアの字も知らなかったような人間だって、一人前に話せるようになった。だから、もちろん努力は必要だけど、努力の仕方によってはちゃんとできるようになるんだ、というメッセージを届けたかったんです。ノウハウとかはあると思うんですけど、才能はいらない。

紺野さんは親善大使としてあちこちの国に行かれて、どうでしたか?

 

英語学習で重要なこと

紺野:最近では2016年にケニアに行きました。2017年はミャンマーを訪れる予定だったんですが、直前にロヒンギャの問題でストップになって行けなくなりまして。だからケニアが最後ですね。

これまで11回、視察として途上国に行ったんですけれど、帰ってくるたびに語学の学習熱がメラメラと燃え上がるわけですよ。「勉強しなきゃ」と。これまで正直言ってかなりの金額を英会話学習に投じましたけど、まったく回収できていない(笑)。今は、人生最後に「やっぱり英語はだめだったな」と思ってこの世を去る気がしています。

中川:だめです、それは(笑)。

紺野:どうしてできないかというと、大きな声で言うことじゃないですが、要するに勉強していないんですよ。なんとなく英会話学校には申し込むけれど、契約したことで、すごく達成感を感じてしまう。だから、やっぱりコツコツやらなきゃいけないなのはわかっているけれども、だんだん英語を使う機会が減ると勉強しなくなってしまう。それでまた海外に行くと「やっぱりやらなきゃ!」って思うけど、また怠け道の方に行ってしまう。ここ20年くらいその繰り返しでして……。

この本に出会って、私の何が一番ダメだったかって考えると、やっぱりアウトプットがまったくなかったこと。なんとなく参考書を見たりリスニングをしたりしてちょっとはできる気になっていたけれども、実際に恥をかきながら英語を話す機会がなかった。

あと、この本を読んで思ったのは、自分の伝えたいことは何かということを、自分の中できちんと日本語で整理しておかなきゃということで。「これだけは話したい」ということ、興味のあることを日本語で書いておいて、それを英語に訳したものを徹底的に練習する。私だったらお相撲が好きだから、そのことを外国人の方に教えてあげたい。お相撲を説明するために必要な「これだけは」という自分のノートを作って練習するといった勉強をしておけばよかったなと。

関連記事

おすすめの記事