日本がUNDPを通じて支援・建設したヨルダン川西岸にある文化センターを訪問した紺野さんと中川さん

元総理通訳と国連機関の親善大使を務める女優が語る「外国語学習の真髄」

中川浩一×紺野美沙子(前編)

日本人が英語を身につけるうえで一番重要なことは何か? 世界最難関のアラビア語を24歳から学んで総理通訳になるとはどういうことか?

総理通訳の外国語勉強法』著者で元外交官(現・三菱総合研究所主席研究員)の中川浩一さんと、20年以上にわたりUNDP(国連開発計画)親善大使を務める女優の紺野美沙子さんの特別対談を掲載!

(左)紺野美沙子さん、(右)中川浩一さん

20年前の出会い

紺野:今からちょうど20年前の2000年の夏に、私はUNDPという国連機関の親善大使として、中東のパレスチナに視察に行ったんですね。約1週間の滞在期間中ずっとつきっきりでアテンドと通訳をしてくださったのが、中川さんだったんです。通常であればUNDPの事務所が対応するんですけど、日本語とアラビア語の同時通訳をできる方はめったにいないので、特別に外務省の中川さんに助けてもらいました。

……私が『総理通訳の外国語勉強法』を読んで驚いたのは、中川さんが1994年に外務省にお入りになって、そこからアラビア語を学び始めて、たったの4年8ヵ月でアラファト議長の通訳をするまでになったってことで。当然ですけどパレスチナでアテンドしてくださったときもペラッペラで、あのとき中川さんがアラビア語を学び始めて6年目とは、よもや思いませんでした(笑)。

当時の紺野さんと中川さん
 

中川:じつは研修が終わって一番最初に実戦で通訳した相手がアラファト議長だったんですよ。大一番がいきなり回ってきまして。

紺野:大学を卒業するまで、まったく触れたこともなかったアラビア語ですよね。それがいきなり外務省に入って、アラビア語をやることになるなんて……どうしてそんなことになったんですか?

中川:外務省に入省するときに言語の希望を出すんですけど、私は帰国子女ではないですし留学の経験もないので、正直なところ「何語をやりたい」という強い希望はなくて。でも外務省に入って国際社会で活躍したい、いろんな価値観を学びたい、とは思っていたんです。

一応スペイン語とかヨーロッパの言語を希望した記憶はあるんですけど、まさかのアラビア語に。本にも書いたんですけど、ある日突然、朝8時くらいに外務省の人事課から電話があって、「中川さん、アラビア語お願いします」の一言で決まってしまったんです。そのときは私も仰天してしまって……。

紺野:それで希望もしていなかったアラビア語を学ぶことに。

中川:そうなんです。第5希望まで書けたんですけど、たまたま私の代は同期80人中、誰もアラビア語志望者がいなかったんですよ。先輩たちや後輩たちの代には、アラビア語で中東をやりたいっていう人がいたんですけど。それで結局、私を含めて4人が選ばれました。

紺野:じゃあ、4人全員が青天の霹靂で。ガビーンみたいな?(笑)

中川:そのあと4人で慰めあったんですけどね、身長×体重の総合力で決められたんじゃないかって。総合力かどうかは分からないですけど、4人ともみんなガタイがいいやつばかりで、私も身長はあるので(笑)。

紺野:アラブの人に負けないように?(笑)

中川:そうかもしれません。