たった10%の水分欠乏で死ぬ…中高年を襲う「熱中症」の本当の恐怖

酷暑襲来!どう気をつければいいか
竹内 孝仁 プロフィール

命が水を必要とする理由  

老化とは、水を失っていく過程である。体の水分量は、年とともに減っていく。命が終わりを迎えるとき、人は水を必要としなくなる。植物が枯れるように、体から水が失われ、死んでいくのだ。あらゆる生命は水に依存し、乾燥に弱いという弱点を持っている。

なぜ私たち人間も含めた生物は、水がなくては生きていけないのか? それは生命の始まりが、海にあるからだ。

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私たちの遠い祖先は、約40億年前の浅い海の中で誕生した。海は穏やかな環境で生物を包み、水中にいるだけで必要な栄養素やミネラルを与えてくれる。何億年もの間、生物は水の中でしか生きられなかった。生命を育んだ海とは異なり、陸は過酷な死の世界だったからだ。

約3億6000万年前、植物が海から陸への上陸に成功する。「生物」が海から陸に上がるまで、30億年もの長い年月が必要だった。それは、太陽から降り注ぐ強烈な紫外線が、生物にとって非常に有害だからである。

紫外線をさえぎるのは、上空のオゾン層である。オゾンは酸素が紫外線に触れ、化学変化することで生じる。海や淡水に生息する藻類は、光合成で作り出した酸素を空中に吐き出す。オゾンが作られるためには、まず酸素が必要だったのである。気の遠くなるような時間をかけて、オゾンはゆっくりと大気を満たしていった。30億年間、生物はオゾン層の完成を待ち続けていたのだ。

こうして、紫外線という問題はクリアできた。しかし、生物が陸に上がるためには、もう一つ解決しなければならない大きな課題があった。それが「水」である。水のない陸地で、生物は生きていくことができない。

そこで、生物は自らの中に「海」を作るという発明をした。体の半分以上を水で満たすことで、初めて陸での生活が可能となったのだ。水は、命のスープなのだ。これが、人間の体の半分以上を水が占めている理由である。

しかし、それと引き換えに、陸の生物は、乾燥に弱いという性質を持つことになった。樹木は水の少ない秋冬は葉を落とすなどして休眠し、アフリカの動物たちは乾季になると、水を求めて命がけの大移動をする。

水を飲まなければ、どんな頑丈な人でも4、5日で死んでしまう。お坊さんが断食で、水だけは飲むのはこのためだ。水はまさに生命を支配しているのである。

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