さらにリカは、ギャラリーで海外のアーティストと英会話したりして、カンチを圧倒します。おしゃれしてギャラリーのレセプションで海外の人と英会話……あまりにもベタな都会人のイメージですが、素朴なカンチは「リカってすげーな」と洗脳されてしまいます。リカはそれに対し、「みんなすごいって言うけれど……誰も本当の私を見ようとしない。だから私はいつもひとりぼっち」と謎の卑下をしていました。言うことをコロコロ変えて男を振り回す平成版のリカとはまた違ったこの独特の面倒臭さは、一度ハマったら抜けられなさそうです。

恋愛はある種の「洗脳」なのかも

令和のカンチは、私服だとかわいいのにサラリーマンのシャツインの格好があまり似合っていなくて、その絶妙なダサさがリカの洗脳欲をくすぐったのかもしれません。出会ったばかりの時、リカに「電子レンジで温めてる時、その場でジーッとしてるタイプでしょ」と言われ、後日カンチはその言葉通り電子レンジを見つめたりします。そしてしまいには、「カンチ、それはもはや恋だね」と恋心を誘導されてしまいます。

社内には同じくリカに洗脳されて抜け殻のようになった覇気のない和賀部長(眞島秀和)がいます。部長がカンチに「なあ永尾、赤名から逃げるなら今だぞ」と神妙にアドバイスするシーンが印象的でした。「逃げる逃げない」とか、もはやそれは恋愛ではないのでは……。

リカに振り回されて自分を見失ったカンチは、愛媛人のプライドも忘れてしまいます。風邪で寝込んだ時に、みかんを食べればビタミンCで回復できたのに、故郷の特産品を失念し、さとみを家に入れてキスしてしまったことが、恋愛のトラブルの要因となりました(私の勝手な解釈です)。

このドラマでは、三上とカンチの間で揺れるさとみなど、他の女性キャラもくせものです。さとみはE-girlsの石井杏奈が演じているのですが、黒髪ロングヘアでE-girlsの時のポップさは皆無です。じっとりとしたウィスパーボイスでゆっくり語りかける様は、相手の男を催眠術にかけているよう。皆の前でカンチに借りた傘を返して二人きりで会っていたことを知らせたりする策略的な行動も油断できません。

男を自分のペースに引き込みがちな女たちが登場する本作を見ていると、恋愛とはある種の洗脳なのだということに改めて気づかされます。