©TYPE-MOON・ufotable・FSNPC

ここまで世界線が枝分かれしても『Fate』シリーズがヒットを出し続けられる理由

最新劇場版はコロナ禍でも好調

「考察」が捗る作品

劇場版アニメ作品『「Fate/stay night [Heaven's Feel]」Ⅲ.spring song』が8月15日に公開され、15~16日の初週末の2日間で動員27万4017人、興行収入4億7489万600円を記録。8月25日時点で、興行収入10億円を突破し、快進撃を続けている。

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コロナ禍でありながら初日動員数が同シリーズ第一章『Fate/stay night [Heaven's Feel] I.presage flower』、第二章『Fate/stay night [Heaven's Feel] II. lost butterfly』を超え、3作連続で動員/興行収入共にランキング1位と大ヒットを記録した。

2019年も新海誠監督の最新作『天気の子』が邦画の興行収入の第1位になるなど、映像作品におけるアニメーションの存在感は年々増している。なかでも『Fate』シリーズの最大の特徴は、「ビジュアルノベルゲーム原作」のアニメであることだろう。

ビジュアルノベルゲームとは、美麗なイラストとテキストで物語を伝えるゲームジャンル。雰囲気は小説やライトノベルにも近く、絵やテキスト、効果音などから世界観を想像したり、ゲームならではの物語の分岐を楽しんだりできる。

日本では『弟切草』や『かまいたちの夜』など90年代初頭のサウンドノベルゲームをルーツに、『雫』『To Heart』といった「リーフ・ビジュアルノベル・シリーズ」のようなアニメキャラクターの立ち絵と背景、テキストで物語を伝えるゲーム形式が人気を集めるようになった。

2004年に発売された『Fate』シリーズの原典『Fate/stay night』(PC用ゲーム)もこの流れを汲んだ作品だ。ゲーム内の選択により、焦点が当たるキャラクター/ヒロインやストーリーが変わり、「セイバールート」「遠坂凛ルート」「間桐桜ルート」の3ルートに分岐する。

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『Fate』の醍醐味は、ルートごとにキャラクター同士の関係性や物語が変化するため、ひとつの作品の中で様々な世界線が楽しめること。プレイヤーが選択したルートはそれぞれがプレイヤーにとっての“正史”であり、同時に“他の世界線では選ばれなかったもうひとつの可能性”にもなる。

また、各ルートにはそれぞれに繋がっている部分もあり、いくつもルートを見ることで、物語の伏線が回収されたり、登場人物の隠された想いに触れられたりする瞬間もある。つまり、「それぞれのルートを進む」「枝分かれした世界線を俯瞰する」という2つの作業を繰り返すことで、作品の考察がすすみ、とても楽しくなるのだ。