地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今日も "サイエンス365days" のコーナーをお届けします。
"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。
1832年のこの日、心理学の祖として知られる生理学者ヴィルヘルム・ヴント(Wilhelm Maximilian Wundt、1832-1920)がドイツのバーデンで誕生しました。
ハイデルベルク大学で「生理学の父」と呼ばれるヨハネス・ミュラー(Johannes Peter Müller)から生理学を学んだヴントは私講師となったのちにライプツィヒ大学で長らく教授を務めました。
このように当初は生理学を学んでいた彼ですが、感覚研究を介して次第に心理学や認識論へと足を踏み入れます。
彼の一番の功績は1879年にライプチヒ大学の哲学部に実験心理学のための世界初の心理学研究室を開設したことです。
彼は心理学を直接経験の科学として捉え、単純な精神現象を実験室内で生起させ、それを研究する手法をとりました。これらの業績から、彼は「心理学の祖」と呼ばれています。
彼の研究室にはオスワルト・キュルペ(Oswald Külpe)やエミール・クレペリン( Emil Kraepelin)など現代でも知られる多くの研究者が集まり、その後アメリカを中心に多く設立される心理学研究室の先駆けとなりました。
ちなみに日本初の心理学者とされるのは元良勇次郎(もとら・ゆうじろう)という人物で、彼を指導したG.Sホール(Granville Stanley Hall)もまたヴントに師事した中の一人でした。