# 医療・健康・食

治療薬がない…コロナ禍のウラで「悪夢の細菌」が増殖していた!

世界を襲う「スーパー薬剤耐性菌」
井高 恭彦 プロフィール

抗菌薬の製造過程は簡略化すると「原料」→「原薬」→「製剤」となるが、医療現場で使用頻度の高いトップ10の抗菌薬は「原料」や「原薬」の調達の多くを中国に依存している。

かつて日本企業も国内で生産していたようだが、新たな抗菌薬の研究開発から撤退、コスト効率を高める中で中国依存度が高まり、いまや日本では生産できる企業はないという。

そのため調達先の中国で、事故・災害、環境規制強化、品質問題などが起きると、連鎖的に日本の抗菌薬が供給不安に陥るのである。

Photo by iStock
 

こうした状況に感染症関連4学会が「これは医療の問題を超えて、安全保障上の問題だ」と危機感を表明、厚労省に安定供給に向けた体制を整備するよう求めた。

厚労省は今年に入って産学の専門家を集めた会議を開催。「原料」「原薬」の国内生産を含めた具体策の検討を開始した。

また、「海外依存度の高い原薬・原料を国内製造する製薬企業を支援する」との名目で20年度の補正予算で30億円が計上された。しかし、原料・原薬から製剤まで一貫した生産体制を整える費用は150〜300億円とされ、この予算だけではとても足りない。

厚労省の専門家会議では1社ではなく官民共同で工場を建設するコンソーシアム方式での対応などが案として挙がっている。いずれの国であれ抗菌薬の原料、原薬を海外の一国に頼り切るのはまずいだろう。

折しも米中関係が急速に冷え込んでいる。今後、日本がどんなとばっちり受けるかわからない。抗菌薬の安定供給に向け、どんな体制を構築するか。コロナ対策と並行してさらに知恵を絞る必要がある。