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治療薬がない…コロナ禍のウラで「悪夢の細菌」が増殖していた!

世界を襲う「スーパー薬剤耐性菌」
井高 恭彦 プロフィール

とはいえ製薬企業も「社会的責任」は十分認識している。

7月9日、世界の大手製薬企業23社が10億ドル(約1050億円)と投じてファンド(基金)を創設、薬剤耐性菌を迎え撃つ新たな抗菌薬の臨床研究を支援することになった。1社では難しいので複数社で挑もうという前向きな取り組みだ。

製薬業界としては過去最大のプロジェクトで、日本からもエーザイ、塩野義製薬、第一三共、武田薬品工業、中外製薬が参加。今後10年間で革新的な抗菌薬2〜4品目を世に出すことを目指す。

ファンドの設立記者会見。日本製薬団体連合会の手代木功会長(左)と日本製薬工業協会の中山譲治会長(右)。撮影=井高恭彦
 

製薬業界はこのファンド設立を機に、薬剤耐性菌に立ち向かう新たな産官学連携体制の構築を各方面に働きかけていく考えだ。

国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院の大曲貴夫氏(国際感染症センター長 、国際診療部部長)が言う。

「薬剤耐性菌による感染症については脅威である。しかし耐性菌は既に特定され、耐性の機序も明確。事前に対処が可能だ」

薬剤耐性菌への対応は、いまからでも遅くはないというメッセージである。この呼びかけを生かすも殺すも「新しい生活様式」を作る私たち次第とも言える。

危うい中国一国依存…対策は?

一方、国内ではここ数年、医療機関での使用頻度の高い注射用の抗菌薬が突如、品薄状態に陥るケースが相次いでいる。

19年3月、薬剤耐性菌の治療や外科手術前に傷口感染の予防に使うセファゾリンという抗菌薬の供給が完全にストップし、医療機関が大混乱に陥った。そのほかの抗菌薬でもたびたび供給不安が起きている。