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治療薬がない…コロナ禍のウラで「悪夢の細菌」が増殖していた!

世界を襲う「スーパー薬剤耐性菌」
井高 恭彦 プロフィール

がんの死亡者数を上回る可能性も

抗菌薬が効かない薬剤耐性菌(AMR)の拡大については、専門家たちが以前から警鐘を鳴らしていた。

英国の研究レポートによると、薬剤耐性菌での死亡者数は現在年間70万人だが、何も手を打たなければ2050年には1000万人に膨れ上がり、がんの死亡者数(推計820万人)を上回るという。

また、日本の調査では、国内で毎年8000人以上が死亡しており、発生から半年が経過した新型コロナでの死亡者数(7月8日時点980人)を数倍上回っている。

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結核や肺炎など細菌感染症を叩く抗菌薬は、適切な時に、適切な量を使えば効果が高い。しかし、どんな抗菌薬も長期間使うと、その薬の効果を削ぐ薬剤耐性菌が発生する。

製薬企業の抗菌薬開発は「新薬を出す」→「耐性菌発生」→「新薬を出す」→「耐性菌発生」の繰り返しで、「いたちごっこ」と言われる。その中で、耐性菌は種類、強度を増していった。

まったく効かないのに風邪などウイルス感染症の患者に投与したり、診断がはっきりしないまま医師が「念のため」に投与したり、どんな疾患にも“効果抜群”と思い込んだ患者が「抗生物質(抗菌薬)をください」と医師に要請したりするケースも多い。そういう誤った投与が耐性菌を増やしていった面もある。

また、抗菌薬は肥満を誘発するのでブタ、ウシ、ニワトリなど家畜を太らせるために大量投与し、そこで発生した耐性菌が食肉を通じてヒトに移っていったとされる。